鄙びた温泉街、迷路のような路地、静かにたたずむ木造駅舎…。
一度も来たことはないのに、なぜか懐かしく心惹かれる。
そんな、郷愁溢れる風景を求めて旅する「一人旅研究会」こと栗原悠人さん。
栗原さんが全国各地でカメラに収めた心揺さぶるシーンをお届けする。
写真・文=栗原悠人
歴史的に価値が高い建物が並ぶ地区を歩き、奥ゆかしい日本の姿に触れるのも旅の楽しみだ。
「美しい町並み」と言っても、城下町や漁師町など、その種類の多さにはっとする。
そのどれもが、先人たちが丁寧に磨き上げてきた景観であり、一つ一つの町を歩くたび、日本人の美意識、日本らしさに魅了されるのだ。
日本はやはり、楽しい国だ。
【和歌山県】熊野古道の宿場町
■湯浅町

世界遺産・熊野古道へお詣りに行く際の宿場町として栄えた街。銭湯跡の見学もできる。
【京都府】石畳の坂道から舟屋まで
■二年坂(京都市)

二年坂。橙色の光が、夜の京を妖麗とも言える雰囲気に仕上げる。町全体が芸術品ともいえる、完成された町並み。
■産寧坂(京都市)

まさしく日本。町並みが現代にもしっかり受け継がれている。写真に写る桜の木は、撮影後ほどなくして倒れてしまった。
■伊根町

日本海側にある舟屋町。舟屋とは、一階が海に直結し、船を引き上げて置くことができる空間を備えた建物だ。
【奈良県】伝統的建造物が連なる
■橿原市今井町

伝統的建造物が500ほどあり、この数は、重要伝統的建造物群保存地区内では全国で一番多いと言う。どの方角を見ても美しい建物ばかりで驚く。