千葉県で2月27日、知事選が告示され4人が立候補した。候補者の1人である立花孝志氏が兵庫・尼崎市で演説を行い、法的違反はないものの、専門家は選挙活動の合理性に疑問を呈している。一方、4日には衆院で公職選挙法改正案が可決され、選挙ポスターの使用や、政見放送や選挙公報の適切な使用を規定し、品位保持強化の方針が示されている。

千葉県以外の場所で街頭演説に疑問続出

2月27日に告示された千葉県知事選挙には、17日間にわたる選挙戦に4人の候補者が挑んでいる。

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そんな中、一部の候補者が千葉県以外の場所で街頭演説を行うなど前代未聞の事態になっている。

5日のテーマは「千葉県知事選なのに兵庫で選挙活動。ソレってどうなの?」だ。

16日に投開票を迎える千葉県知事選に立候補しているのは、無所属・現職の熊谷俊人候補(47)、無所属・新人の小倉正行(72)、政治団体Q・新人の黒川敦彦(46)、NHKから国民を守る党・新人の立花孝志(57)の4人の候補者だ。

無所属・現職の熊谷俊人候補(47)候補:
どの場所であったとしてもすぐに行動できるような体制をこれからも構築していくために、被災者支援システムを全県的に構築をしていく。一緒に千葉県を前に進んでいくんだという「チーム千葉」を作っていく。

無所属・新人の小倉正行(72)候補:
私が知事になれば、必ず水道料金の値上げを中止し、水道事業の健全化、長期安定化を図ります。このことが千葉県再生にとっても不可欠だと思っております。

政治団体Q・新人の黒川敦彦(46)候補:
県知事選に落ちても、よほどの事がない限り千葉県に会社を作ろうと思っています。投資をしない限り経済は回りませんからね。私たちはそういう思いで経済と向き合っています。

NHKから国民を守る党・新人の立花孝志(57)候補:
選挙に出て訴えたいこと、みんなあるじゃないですか。でも当選を目的としなければならないなんて付いたら自由な言論ができないでしょう。

もちろん千葉県知事を選ぶ選挙だが、立花候補は遠く離れた兵庫県尼崎市で街頭演説を行っていた。立花候補に3日、兵庫県で選挙活動をしている理由について話を聞いた。

立花孝志候補:
千葉県の選挙は千葉でやらなくてはいけないという法律はないし、そもそも法律には「当選を目的としなきゃいけない」とか「千葉の選挙で出たら、千葉で当選を目的とするための運動をしなくてはいけない」と書いてないですよね。

選挙が行われている場所で選挙活動をせず、別の場所で活動するのは問題ないのか。選挙制度に詳しい東北大学大学院の河村准教授に話を聞いた。

東北大学大学院・河村和徳准教授:
そもそも違反にならない。ただ、当然選挙で当選するのには、もちろん選挙区の中でするだろうという大前提がある。当選を目的としていないところで選挙運動をわざわざやることの合理性がない。「なぜそういうことをする?」というクエスチョンはつくが、「ダメだというわけではない」という認識が(立花候補には)あると思います。

「2馬力選挙」など制度見直し論が高まる

青井実キャスター:
パックンはこのような選挙活動、どう思いますか?

SPキャスター パックン:
違法性はないと思いますよ。ただ、候補の中から次の国民のリーダー、代表を選ぶ本来の目的とは反することは多分間違いないかなと思うんです。でも規制するべきだとみんなが決めれば、改正案につながるからいいかなと思うんですよね。

青井キャスター:
そんな中で、4日に衆議院で可決された公職選挙法の改正案が注目を集めています。今回の改正案のきっかけは、2024年の東京都知事選や兵庫県知事選などでの選挙活動をめぐる問題でした。都知事選では、「選挙ポスター」に動物のイラストが描かれたものや、候補者ではない人物が写ったポスターが乱立しました。利益を得る目的でポスター掲示板が使われたことが問題だと指摘されました。

兵庫県知事選では、自分以外の候補者の当選を呼びかける立候補の問題が指摘されました。いわゆる「2馬力選挙」への対応です。
今回の公選法の改正で、選挙ポスターの適切な使用をはじめ、政見放送や選挙公報も品位保持を徹底することなどが定められることになります。
河村准教授は、思い切った公選法の改革が必要だと訴えています。

東北大学大学院・河村和徳准教授:
公職選挙法を単に部分的に改訂するのではなく、現代に合わせた形に少し選挙の制度を含めてデザインし直さなければいけない時期に来ていると思います。

青井キャスター:
村上総務大臣は兵庫県での活動について、4日の閣議後会見でこう答えました。

村上総務相:
もう選挙が始まっていることもありまして、個別の候補者の選挙運動については総務省としてはコメントを控えさせていただきたい。

千葉県知事選の投開票は3月16日に行われる。
(「イット!」3月5日放送より)

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