韓国で、人気観光地でアザラシが泳ぐ動画や芸能人のウソの訃報がYouTubeで拡散されるなど、フェイクニュースが社会問題となっている。
李在明大統領は、「懲罰的な賠償」での対策を検討するように指示した。専門家は、規制強化の背景には、過激なYouTuberの行動を抑制する狙いがあると指摘した。

選挙戦でも拡散されたフェイクニュースが問題に

韓国で今、フェイクニュースが社会問題となっている。

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冠水した町で猫が泳ぐ様子や水に飛び込む女性を映した動画や、韓国の国家遺産として知られるソウルの人気観光地「景福宮」で、黄色いレインコートを着た男性の横でアザラシが泳いでいる動画もあった。

これらは、全てAIが作ったフェイク動画だ。さらに、こんなフェイクニュースも作られている。

取材班:
こちらのYouTubeチャンネルでは、韓国の芸能人のニセの訃報ニュースが多数投稿されています。

実際には生存している芸能人の映像を無許可で使い、ウソの訃報として伝えていた。

中には「とても悲しいです…。俳優キム・ヘスクが70歳で死去」と、日本でも大ヒットしたドラマ「冬のソナタ」でチェ・ジウさんの母親役を演じた大物俳優のウソの訃報も投稿されていた。

韓国で問題となっているフェイク動画は、2025年6月に行われた大統領選の最中にもあった。

檻の中に入れられた尹錫悦前大統領を李在明大統領が笑いものにする動画など、フェイク動画がSNSなどで急速に広がった。

李在明大統領:
フェイクニュースでお金を稼ぐことがあまりにも多いが、フェイクニュースをばらまくYouTuberたちをどうするか、法務省は検討するように。一番良いのは懲罰的賠償である。

懲罰的な損害賠償を科すことで過激配信に歯止めか

規制強化に動いた背景の一つとして、専門家は次のように分析している。

龍谷大学・李相哲教授:
今のところ李在明大統領が激怒したきっかけは、自分の少年工時代のことに関して、フェイクニュースを流していることだと私は思う。

これは、李在明大統領の少年時代に関するフェイクニュースを伝える動画だ。

ナレーション:
皆さん、米国モース・タン大使の暴露で、李在明の少年犯罪関与疑惑が再び話題になっています。

フェイク動画では大統領が少年時代に罪をおこし、進学できなかったといった虚偽内容を発信していた。さらに、規制強化の背景には過激なYouTuberへの対策もあった。

取材班:
弾劾賛成派の集会の前に、保守系のYouTuberが座り込んで邪魔をしています。

2025年3月、当時の尹大統領への弾劾に賛成する集会に、対立していた李在明氏を批判する、いわゆる保守系のYouTuberが乱入した。

弾劾賛成派:
尹錫悦を逮捕せよ!逮捕せよ!

保守系YouTuber:
李在明を逮捕せよ!逮捕せよ!

専門家は、懲罰的な損害賠償を科すことで過激なYouTuberの行動を抑制する狙いがあると指摘した。

龍谷大学・李相哲教授:
YouTubeは大きな産業の一つになっていて、YouTubeの影響力は無視できない。

韓国で社会問題化しているフェイク問題の有効な対策が急がれる。
(「イット!」8月6日放送より)

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