2024年1年間で日本盲導犬協会が育成した盲導犬は36頭。盲導犬の数が不足している。そんな中、盲導犬に対して理解や支援を求めようと、新たにパートナーになった視覚障がい者と盲導犬の出発式が企画された。
「好きな時に好きなところに行ける」
広島市南区のホテルグランヴィア広島。会場に入ってきたのは、盲導犬とそのユーザーたちだ。2025年2月28日、パートナーとの新たな一歩を踏み出す出発式が行われた。

出発式に参加したのは視覚障がい者の暮らしをサポートする盲導犬と新たにパートナーとなった視覚障がい者の3組。

その1人、国弘武さんは「好きな時に好きなところに行ける。これが盲導犬を持つユーザーにとって一番大切なことだと思います」 と新生活スタートへの思いを語った。
66.9%が盲導犬の法律を知らない
一方、盲導犬の数が不足している課題がある。盲導犬の訓練士が減少していることなどが要因で、2024年1年間に日本盲導犬協会が育成した盲導犬は36頭。希望してもパートナーが見つかるまでには2~3年かかるという。

さらに、盲導犬への理解が進んでいない現状がある。盲導犬の同伴が認められている場所で飲食店などから入店を断られてしまうケースも。身体障がい者の自立や社会参加を促す「身体障がい者補助犬法」では、飲食店などへの入店は「原則として拒んではならない」と定められている。しかし日本盲導犬協会によると、そもそもこの法律を知らない人が「66.9%」というアンケート結果が出た。特に飲食店やタクシー乗車の受け入れ拒否が、今も存在しているという。

そんな状況の中で、盲導犬に対して理解や支援を求めようと企画された出発式。甘えるように視覚障がい者に寄り添う盲導犬の姿も見られた。国弘さんは盲導犬のフジくんについて「いなくてはならないパートナーです。自ら寄ってきてくれるので、安心してお出かけできます」と話す。
この日、3人の視覚障がい者がパートナーの盲導犬と新たなスタートを切った。思いやりの気持ちや理解を広げていくことが社会に求められている。
(テレビ新広島)