岩手県大船渡市で発生した山林火災は、発生から2日目を迎えても延焼が続いている。600ha以上を焼失し、1340世帯・3306人に避難指示が出される事態となった。「もう諦めの境地、『全部燃えるんだ』という気持ちになる」と避難所で聞かれた住民の声が、事態の深刻さを物語っている。

拡大し続ける山林火災、炎と煙に包まれる大船渡市の山々

2月26日午後に岩手県大船渡市で発生した山林火災は、27日午後6時現在も延焼が続いている。大船渡市は三陸町綾里全域と赤崎町の合わせて8つの地区、1340世帯・3306人に避難指示を拡大した。

また、27日午後、焼損した地域の県道沿いで1人の遺体が見つかった。

住宅近くまで迫る炎
住宅近くまで迫る炎
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27日正午過ぎに空から撮影した大船渡市の山林火災の現場の映像では、山を覆い隠すように大量の煙が立ち上っていて、山林には黒く焼け焦げた木や下草が見える。

上空から複数の建物や車が焼けた跡を確認
上空から複数の建物や車が焼けた跡を確認

山林から延焼したとみられる集落へカメラを向けると、至るところで複数の建物や車が焼けているのが確認できる。

3000人以上に避難指示、1人の遺体発見

警察によると、この山林火災は26日に大船渡市赤崎町の合足地区、三陸町綾里の小路地区と田浜地区などで確認されたものだ。

この山林火災は拡大し焼損面積は少なくとも600ha。27日朝の時点では画面上の点線のエリアへ延焼したことが分かっている。

警察などによると、27日午前7時過ぎに小路地区を通る県道の路肩で男性とみられる1人の焼死体が発見された。警察が遺体の身元の特定を急ぐとともに、今回の山林火災と死因に関連があるとみて調べている。

さらにこれまで市内2つの地区に発令されていた避難指示は、延焼が拡大するおそれがあるとして、三陸町綾里全域と大船渡市の赤崎町の合わせて8つの地区1340世帯・3306人にまで対象が広がった。

建物への被害については、これまでに少なくとも84棟以上の住宅などを焼いたとみられている。

不安を抱えた避難所生活、支援物資の配布も

避難所が開設されている越喜来小学校では、図書室の本棚に挟まれるように段ボール製のベッドが置かれるなど厳しい避難所生活が伺える。

避難所では本棚に挟まれた場所に段ボール製のベッドが
避難所では本棚に挟まれた場所に段ボール製のベッドが

息子に自分の避難場所を知らせている女性は、これから息子も同じ場所に避難してくるという。

避難した人からは「もう諦めの境地。地域が避難ということは『全部燃えるんだ』という気持ちになる」という声が聞かれた。

避難所への支援物資も続々と届いている。市民体育館には食料品のほか毛布や歯ブラシなど生活用品が集められていて、27日は分配の作業が行われていた。

こうした中、県は27日、災害対策本部員会議で仮設住宅の供給に向けた調整を始めたと明らかにした。

まずは仮設住宅とみなし仮設住宅がどの程度必要かを調査するという。

懸命の消火活動、疲労困憊の地元消防団

27日の消火活動は緊急消防援助隊として派遣された宮城・山形のヘリや災害派遣要請を受けた自衛隊のヘリが空から散水をしたほか、県内外から駆け付けた消防が地上から放水にあたった。

宮城・山形のヘリや災害派遣要請を受けた自衛隊のヘリが空から散水
宮城・山形のヘリや災害派遣要請を受けた自衛隊のヘリが空から散水

一方、現場近くの道の駅では26日から夜通しで活動していた地元の消防団が団員の無事を確認。

2月19日以降、市内で相次ぐ山林火災に疲れの色が見えた。

地元消防団の人は「気持ちの面でもまだ休めてない。(前の山林火災が)やっと終わって良かったと思っていたので疲れます」と話していた。

懸命の消火活動が続いているが、27日午後3時ごろには市内の三陸町綾里で再び火が上がるなど火事の勢いは弱まっていない。

火の勢いは弱まっておらず延焼の拡大続く
火の勢いは弱まっておらず延焼の拡大続く

日没後もヘリの散水が行われることになっていて、消防や警察も地上での消火活動や警戒を継続するという。

(岩手めんこいテレビ)

岩手めんこいテレビ
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