岩手県大船渡市を襲う大規模山林火災は、3日目も勢いが衰えることなく猛威を振るっている。

焼失面積は1200ヘクタール以上となり平成以降で国内最大の規模となっていて、84棟以上の建物が被害を受けた。4200人以上に避難指示が出ている中、消防や自衛隊による懸命の消火活動が続いている。

平成以降国内最大規模の山林火災

大船渡市で2月26日に発生した山林火災は、28日になっても火の勢いが衰えていない。

現地からの報告によると、28日午前4時半の時点で、大船渡市末崎町内の漁港から対岸の山の上方で炎が上がっているのが確認された。11日連続で乾燥注意報が出されている気象条件が被害を拡大している要因の一つだ。

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現場では懸命の消火活動が続いていて、28日からは通常のヘリの10倍の水量を散水できる自衛隊の大型ヘリなど3機が追加され、合わせて16機で消火活動が行われている。この大規模な消火体制で火災の深刻さがわかる。

上空から複数の建物が焼けているのを確認
上空から複数の建物が焼けているのを確認

上空から見ると、至る所で建物や車が焼けているのが確認できる。複数の建物が焼けて粉々になった白いがれきが散乱している。山肌の至るところで赤い炎が見える。

東日本大震災の津波で85人が犠牲になった地域で再び

市内の小路地区では27日、成人男性1人の焼死体が発見された。市は安否不明者の確認を急いでいる。

焼失面積は27日までの時点で600ヘクタール以上とされていたが、延焼が続いたことで、その面積は28日の発表で、赤崎町と綾里の半島部分1200ヘクタール以上にまで拡大。平成以降では国内最大規模となった。

被害を受けた大船渡市三陸町綾里と赤崎町は、東日本大震災の津波でも85人が犠牲となり、1247戸の住宅が被災している。

避難指示対象が拡大、4200人超える

今回の火災では1755世帯・4263人に避難指示が出され、27日夜は877人が避難所で過ごした。

ある避難者は「家の後ろまで大きい煙が充満していてやばいなと思った。津波は来ないと思ったら今度は火災になってしまった」と話していた。

中には東日本大震災の時にも避難し今回が2度目の避難だという人もいた。
「避難所で生活していると(震災)当時のことを思い出す。(避難を)あまり長くはしたくない」と不安な思いを語った。

大船渡市や周辺自治体からの支援物資が届く
大船渡市や周辺自治体からの支援物資が届く

避難所では、市や周辺自治体からの支援物資が続々と届いている。例えば、災害備蓄マットは近隣の野田村から送られてきた。避難者のために新たに毛布や段ボールベッド、パーティションを市に要望しており、準備が進められている。

医療支援と仮設住宅の準備

医療面での支援も行われている。盛岡赤十字病院では、28日朝に救護班が出発し、避難所で医師や看護師が対応にあたっている。この迅速な医療支援は、避難者の健康と安全を守る上で重要な役割を果たしている。

一方、県は27日から仮設住宅の整備の調整に着手し、県営住宅16戸を確保した。今後100戸程度の確保を目指すとしている。これは、長期化する可能性のある避難生活に備えた対策であり、被災者の生活再建に向けた第一歩となる。

困難を極める中、懸命の消火活動が続いている。

(岩手めんこいテレビ)

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