食材価格の高騰が学校給食に深刻な影響を与えている。食用油や米、野菜などの価格上昇により、多くの自治体で給食費の値上げを検討する動きが出ている。栄養教諭は限られた予算内で栄養バランスの取れた献立作りに苦心し、様々な工夫を凝らしている。
「何を削る?」栄養教諭の苦悩
長野県諏訪市の諏訪南中学校では、栄養教諭の伊東孝子さんが日々の献立作りに頭を悩ませている。
「何を削ったらいいか、何を変えていったらいいかとその都度、献立を考えている状況」と伊東さんは語る。

食材の価格高騰により、これまでと同じように使っていては赤字になりかねない状況だ。
生徒も挑戦!360円の献立
2023年11月、伊東さんは家庭科の授業で生徒たちに給食の献立を考えてもらった。
生徒たちは栄養バランスだけでなく、「1食360円」という予算内におさめることの難しさを実感した。

ある生徒は「値段が決まっているから、それに合わせて具材を選ぶのが難しかった。調理員さんが苦戦しているのがよく分かった」と語った。
工夫を重ねる給食現場
食材高騰への対策として、諏訪南中学校では様々な工夫を凝らしている。肉や魚は単品で提供せず、カットしてほかの食材と合わせたり、大豆食品と置き換えたりしている。

また、野菜の1人分量を調節したり、高騰が著しい食用油の使用を抑えるため揚げ物の回数を減らしたりしている。
給食費値上げの動き広がる
諏訪市では現在、給食費の一部を公費で負担しているが、2025年度からは給食費を15円値上げし、家庭の負担を増やすことも含めて検討している。
金子ゆかり市長は「量を減らしたり、質を落とすということは、望ましいことではない」としつつ、家計の厳しい状況も考慮して検討中だと述べている。
長野県内19市のうち、14市が給食費を値上げする方針を示している。

一方で、中野市は2025年4月から小中学生の給食費を無償化する方針だ。
家庭の負担については、据え置く自治体と増やす自治体に分かれている。
「元の値段に戻って」願い
栄養教諭の伊東さんは、「いろいろな食材を知ってほしいという思いもあり、献立を考えている」と語る。

そして「値上げは早く終わってほしいし、できることなら元の値段に戻ってほしいというのが一番の願い」と、食材価格の安定化への期待を示した。
(長野放送)