コメの価格高騰で放出が決まった政府の「備蓄米」。保管されている福岡の倉庫にTVカメラが入った。一方、注目されている安価な「輸入米」とは?

3月下旬には店頭に並ぶ見通し

所在地や管理会社を明かさないという条件のもと取材班が向かった先は、県内の或る倉庫。重量感ある扉の先で管理されているのが、政府の備蓄米だ。1つ30キロの米袋が、山のように積み上げられている。

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政府は凶作や災害に備え、全国の倉庫で合わせて約100万トンのコメを備蓄しているが「令和のコメ騒動」ともいわれるコメの値上がり対策として、ついにこのカードを切ることを決めた。

江藤拓農林水産相は会見で「流通が滞っているスタックしている状況を何としてでも改善したい」と述べた。放出する備蓄米は21万トン。流通の円滑化を目的に政府が備蓄米を放出するのは、今回が初めてだ。

江藤拓・農水相
江藤拓・農水相

政府は今後、2024年に収穫された備蓄米を中心に放出を開始し、早ければ3月下旬には店頭に並ぶ見通しだ。今回、取材した福岡市の倉庫の入口には、ネズミの進入を防ぐ「ネズミ返し」も設置されていて、温度や湿度も管理を徹底。出荷の時を静かに待っていた。

農水省による最新の調査結果では、全国のスーパーでのコメの平均価格は5キロあたり3829円と1年前と比べ、90%近く値上がりしている。

カリフォルニア州産 カルローズ米

こうしたなか、福岡市内のディスカウントストアでは或るコメが注目を浴びていた。食品コーナーの一角に山積みされていたのは聞き慣れない「カルローズ米」だ。

生産されたのは福岡から9千キロ以上離れたアメリカカリフォルニア州。価格は10キロで税込み約6千円。最近は5キロで4千円を超える国産米もあるなか、手頃な価格となっている。

コメ不足を予想したこの店では、2024年3月からカルローズ米を並べていて、いわゆる「令和のコメ騒動」以降、売り上げを伸ばしている。1世帯10キロまでの数量制限を設けているほどだ。ミスターマックス広報課の丸山佳祐さんは「少しでも多くのお客様にお買い求め頂きたいという価格で、お米をご購入頂きたい思いのもと、仕入れた商品となっています」と話す。

カルローズ米は国産米とどう違うのか。特殊なレンズで撮影してみると、国産より粒が細長いことが分かる。そして今、県内にはカルローズ米を使ったメニューを提供する店もある。

筑紫野市のスパイスカレーの店。8種類のスパイスをふんだんに使ったチキンカレーが看板商品だ。この店では5年前のオープン当初からカルローズ米を使用していて、国産米より仕入れ値は2割ほど安く1000円を切る価格でカレーの提供を続けている。

常連客は「全然普通のお米と変わらず、ちょっと噛み応えがあるかな。カレーとの相性は最高だと思います」と話す。取材した店によると、カルローズ米は味がしみ込みやすく、カレーに合うほか粘りが少ないため炒飯などにもぴったりだという。

「令和のコメ騒動」とも言われるコメの価格高騰。政府の備蓄米放出が近づくなか、より安価な輸入米への注目も高まっている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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