心臓の異常の一つ「不整脈」。年齢を問わずリスクがあり、放置すると心筋梗塞や脳梗塞につながる恐れもある。簡単にできるセルフチェックの方法や、受診の目安を医師に聞いた。
不整脈には3種類
「脈拍が1分間で50回から100回の間で規則正しく一定のリズムで打つのが正常な脈拍。不整脈というのは、それ以外の状態」こう説明するのは、福井県済生会病院循環器内科の丹羽智医師。

不整脈は大きく分けて3種類ある。▼脈がゆっくりになる「徐脈」▼脈が速くなる「頻脈」▼脈拍が不規則になる「期外収縮」だ。

「頻脈および徐脈は高齢者に多い印象で、脈が乱れたり不規則になったりする期外収縮は、比較的若年層に多い印象がある」と丹羽医師。
放置すると重大な病気に
不整脈は、心筋梗塞や心筋症といった心臓に原因があることもあるが、貧血や甲状腺機能の異常、アルコールのとり過ぎ、ストレス、喫煙といった心臓以外が要因となる場合もあるという。

具体的な症状について丹羽医師は「徐脈はめまいやふらつき、息切れ。症状がひどくなると失神する場合もある。頻脈や期外収縮の不整脈は、動悸や胸の違和感、脈の乱れ、息切れなどの症状を訴える人が多い」という。そのうえで「放っておくと心不全や脳梗塞になる恐れもある」と注意喚起する。
無症状の場合も…セルフチェックを
一方で、症状が全くなく、健康診断などでの心電図で異常が見つかる人もいるため、注意が必要だ。自分の脈拍の状態を簡単にできるセルフチェックできるのが「検脈」。手首の親指側を逆の手で優しく押さえ、リラックスした状態で15秒間、脈を測る。約12回から25回を外れる場合や、拍動が不規則な場合は病院を受診した方がよいという。

不整脈ドックも有効
丹羽医師は「不整脈の種類はたくさんあるので、心電図検査をしないと判別が付かないのが現状」とする。そこで有効なのが「不整脈ドック」。問診や採血、超音波の検査に加えて、「ハートノート」という心電計を体に貼って1週間、普段通り生活をしながら心電図をとり、異常がないかを調べるというもの。1週間の記録をするため、不整脈の見逃しが少ないといわれているという。

県済生会病院では2024年7月から「不整脈ドック」を採用。症状がある場合の検出率は90パーセントを誇る。「動悸などが気になる、胸の違和感があるなどの症状がある人はもちろん、無症状の人もいるため、生活習慣の乱れや気になる人は受診してほしい」としている。