阪神・淡路大震災から、2025年1月17日で30年が経った。過去の災害を教訓にして、今取り組むべき防災とは?

区画整備で「地震や火災に強い町」

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災。崩れた建物の下敷きになるなどして6434人が亡くなり、兵庫県では火災により7443棟が焼損。古い木造家屋が密集していて、倒壊した建物が延焼した。

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2003年、国土交通省は地震発生時に大規模な火災の恐れがある「重点密集市街地」を公表した。その一つが高知市・旭駅周辺で、中須賀町・下島町・水源町の3地区は古い木造住宅が密集している。

区画整備が完了し、道幅が広くなった地域
区画整備が完了し、道幅が広くなった地域

道が狭く入り組み、区画整備のため工事が進められている中須賀町。整備が終わった区域では、災害時に住民が避難する道幅は広くなり、新しい住宅が間隔を空けて立ち並んでいる。

高知市は2017年度から古い住宅の建て替えや区画整備を行い、地震や火災に強い町をつくっている。

津波にも対策 大幅な被害減見込み

一方、南海トラフ地震で甚大な被害が想定される津波への対策も進められている。

3段階の壁で津波の勢いを弱める「三重防護」 浦戸湾では2031年度に完成予定
3段階の壁で津波の勢いを弱める「三重防護」 浦戸湾では2031年度に完成予定

高知市の浦戸湾周辺では、3段階の壁で津波の勢いを弱めて市内への侵入を防ぐ「三重防護」の工事が進んでいる。2031年度に完成予定で、想定を超える津波が来た場合にも、到達を遅らせ避難時間を稼ぐ効果が期待できる。
また、高知県内では2023年度末までに目標としていた126基の津波避難タワーが完成した。

さまざまな対策により被害の大幅な減少を見込んでいる
さまざまな対策により被害の大幅な減少を見込んでいる

県は南海トラフ地震で当初4万2000人の死者が出ると想定。しかし、対策をすることにより死者を7600人まで減らせると見込んでいる。

古い耐震基準の空き家など課題も

阪神・淡路大震災から30年。社会の変化による新たな課題も出てきている。

県 土木部住宅課・藤田直さん:
人口が減ってきている中で、空き家も増加傾向。県内の空き家は昔の耐震基準とか古い家が多い傾向にありますので、揺れで倒壊したりとか、火災のリスクは高まるのかなと。

国交省の調査では、全国の空き家のうち7割が新耐震基準ができる前、1980年以前の建物だと分かっている。高知県の空き家も増加傾向にあり、2023年は7万8700戸となっている。

政府の地震調査委員会は1月15日、南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率について、これまでの「70%~80%」から「80%程度」に引き上げた。ただ、「今のところ平常時に比べ危険度が高まっているという現象が見られているわけではない」としている。

近い将来必ずやってくる南海トラフ地震に向け、私たち県民一人一人の防災意識を高めることが重要となる。

(高知さんさんテレビ)

高知さんさんテレビ
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