インバウンド需要の拡大を背景に、広島県でも急増している「民泊」。旅行者向けの宿泊サービスとして広がってきたが、賃貸マンションを借り、民泊として展開するケースでは利用客に地元住民も増えつつある。どんな部屋なのかを取材した。
賃貸の空き部屋を民泊に
インバウンド客の増加で急速に成長を遂げている民泊ビジネス。

2023年11月に参入した広島市の業者「ネイバーズ」は、賃貸マンションの空き部屋を借りて民泊として運用するスタイルで、現在30部屋を展開している。

広島市中心部の民泊物件では、宿泊料金が時期によって変動するものの、閑散期の平日では2人で約7,000円、最大5人宿泊で1万9000円というリーズナブルな価格設定になっている。

事業を展開する「ネイバーズ」の砂田健吾社長は「ホテルの価格より、少し安めに設定するのが民泊ビジネスのポイント」と語る。
現在、利用者の半数以上がインバウンド客だが、日本国内の旅行者にも人気が高まりつつある。
空き部屋を利用した民泊の場合、部屋をオーナーから、賃貸で借り受ける。この賃貸マンションは築30年で、月4万5000円くらいで借りていて、部屋のリフォームはオーナーにしてもらったという。

民泊は2018年に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)により、指定の届け出をすれば、年180日まで住宅で宿泊サービスが提供できるようになった。施行から2023年の3月末までの7年間に宿泊者数は広島県内で延べ25万人以上。一年間の平均で、およそ3万5000人以上が利用したことになる。
見晴らし抜群の「ペントハウス」
ラグジュアリーな物件は、民泊になると、ホテルとは異なる独自の魅力を提供できる。

広島市内のある物件は、リフォームなしで内装のアレンジだけを施し、ガラス張りの大パノラマを活かした豪華な空間を演出している。この物件の家賃は13~14万円だが、閑散期の最低宿泊料金は2人で1万1000円、1人増えるごとに4,000円追加で最大7人まで泊まれる。7人だと3万1000円、グループ利用には最適だ。
見晴らしのいいこの広い部屋で、パーティーをしたケースもあったという。

さらに、ラグジュアリーな部屋もある。16~17万円の家賃の部屋が、閑散期には2人で1万2~3,000円程度で宿泊可能。広島市中心部の平和大通りを一望できる特別な空間として人気を集めているという。
地元住民が「非日常」を体感できるスペース
民泊の利用者は、もはや観光客だけではない。広島市内の住民が、ちょっとした非日常を求めて宿泊するケースも増えている。

砂田社長によると「地元の人が普段住めないような高級マンションに泊まり、特別な時間を過ごすという新しい使い方が広がっている」という。
家族やカップル、パーティー目的での利用も多く、リピーターも増加。民泊は、単なる宿泊施設ではなく、住民にとっても新たなライフスタイルの一部になりつつある。
(テレビ新広島)