岡山の土産菓子として半世紀近く親しまれてきた、「きび田楽」が1月31日で販売を終了する。岡山駅にある販売店には30日、商品を買い求める人たちの長い列ができた。

後継者不在で「きび田楽」製造・販売終了

1975年ごろから販売が始まった「きび田楽」はクルミを練りこんだ餅にきな粉をまぶした菓子だ。駅売店や、高速道路のサービスエリア、デパートや空港の売店など、県内各地で販売され、多くの人に親しまれてきた。

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製造元の菓子店、「金萬堂本舗」(会社設立1973年8月…帝国データバンク調べ・岡山市北区辛川市場)が1月31日で、後継者不在を理由に菓子の製造・販売を終了する。

30日は「きび田楽」を買い求め長蛇の列に
30日は「きび田楽」を買い求め長蛇の列に

岡山駅にある同社の直営店によると、販売終了がインターネットなどで話題となった1週間ほど前から買い求める人が急増したという。30日も店には200人以上の列ができた。

“ふるさとの味”求め長蛇の列

きび田楽を購入した岡山市の女性は「実家が島根で、岡山に出張に行った祖父がよく買ってきてくれた。結婚で岡山に来てからもクルミの香りが好きで昔から食べていた。ほかのところが同じ味で引き継いでくれたら…」と話す。

また、列に並んだ岡山市の女性は「知人に岡山の土産で何を買ったらいいか聞かれたら、きび田楽をすすめていた。絶対、最後に食べようと思った」と販売終了を惜しむ声が聞かれた。

「(反響に)びっくりした。1月20日ごろまでは普通に販売して、最終週はゆっくりと販売を終えるのかなと思っていた」と話すのは約18年、店頭に立ってきた店長の三牧敦子さん。

三牧さんによると、1月24日以降、店頭に出した「きび田楽」は完売。店には販売開始前から連日、客の行列ができ、日によっては朝6時ごろから並び始めている。

県外に住む息子や娘が販売終了を知り、「どうしても食べたい」と言われて、ふるさとの味を送るために買い求める親の姿も多く見られるそうだ。

「今まで本当にありがとう」

思わぬ反響に、店では待ってもらう客に感謝の気持ちを伝えようと、25日から27日の3日間、先着60人にくじを引いてもらい、当たった20人には同社の営業担当の部長が手作りした「きび田楽」をデザインしたストラップ配った。

三牧さんは「今まで本当にありがとう、おいしかったと言ってくれるのがうれしい。最終日には泣かないようにしないと」と話す。

30日は約500個の商品を1人2個までの個数制限で、午前11時前から販売しましたが1時間ほどで完売しました。販売最終日の31日も午前11時ごろから販売を始める予定。

(岡山放送)

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