実際の震度より大きく揺れたと感じる「長周期地震動」。周期が1.5秒以上8秒以下の揺れを指す。震源が浅く、マグニチュードが大きい地震で発生しやすく、震源地から700km離れた高層建物にも大きく影響を及ぼす。宮崎県は砂地盤で揺れが広がりやすく、南海トラフ地震対策として家具の固定などが重要だ。

長周期地震動とは?

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2025年1月13日の地震発生時、ビルの上層階が横にしなるように揺れたアミュプラザみやざき「うみ館」。窓を見るとカーテンが左右に揺れているのも分かる。なぜアミュプラザの上層階があれほど揺れたのか。防災工学の専門家に映像を見てもらうと…

宮崎大学工学部 村上啓介教授:
明らかに、2〜3秒くらいの周期で揺れていた。これは長周期の揺れに入る揺れだ。

村上教授が指摘した「長周期」の揺れ。周期とは揺れが1往復するのにかかる時間のことで、この周期が1.5秒以上〜8秒以下の長く大きな揺れのことを、「長周期地震動」という。地震の持つ周期と建物自体が持つ固有の周期が近くなったときに、高層の建物では、大きな揺れが発生しやすくなる。

宮崎大学工学部 村上啓介教授:
地震が起きれば、全ての高層マンションが同じように長周期で揺れるかというと、必ずしもそうではない。地震によって被害の結果は違ってくる。

長周期地震動の特徴は大きく3つ。震源が浅く、マグニチュードが大きな地震ほど発生しやすく、高層ビルやマンションなどは建物の周期と一致すると長時間揺れる。

そして、地震が発生した場所から数百km離れたところでも長く大きな揺れが発生する。2011年に起きた東日本大震災では、震源地となった東北沖から約400kmから700kmも離れた東京や大阪などでも高層ビルが揺れ、エレベーターが止まるなどの影響が出た。

南海トラフ地震の場合は

同様のことは、南海トラフ地震でも指摘されている。

宮崎大学工学部 村上啓介教授:
南海トラフはものすごく広い範囲に設定されていて、遠いところで起きたとしても、長周期の地震動はやってきて、高い建物を大きく揺さぶることが当然起こるし、まずそれを知っておいて、それに対する対策をとっておく必要がある。

長周期振動の4つの階級

2013年に、気象庁は長周期振動の揺れの大きさを示す「階級」を導入した。

1月13日の地震では、宮崎市と小林市で「ものにつかまらないと歩くのが難しい」階級2を観測していて、宮崎市のマンションの15階では、キッチンの引き出しが飛び出し、モノが散乱した。

また、2024年8月に起きた日向灘を震源とする最大震度6弱の地震では、階級3を観測。この時、宮崎市のマンションの11階では、ピアノが10cmほど動いていた。

重たくて大きな家具をも簡単に動かしてしまうほどの威力を持つ「長周期地震動」。村上教授は、宮崎県は長周期地震動が起こりやすいと指摘する。

宮崎大学工学部 村上啓介教授:
今回1月の地震も2024年8月の地震も、震源の深さとしては30kmくらい、比較的浅い震源で強い地震が起きている。宮崎平野は砂地盤の堆積層なので、日向灘で起きた地震の揺れがそのまま長周期が県内全域に広がっていきやすい。宮崎県、長周期地震動には、しっかりと注意をしておく必要があると思う。

まずは、家具の固定。会社などでは、キャスターが付いているプリンター複合機などを床に固定することも重要だ。

(テレビ宮崎)

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