2024年10月、知人女性に同意なくわいせつな行為をした罪に問われている元新潟県警の巡査部長の男の初公判が17日に新潟地裁で開かれた。男は起訴内容を認めた上で、「身体に触りたいという気持ちばかりが先行した」などと話した。検察は懲役2年を求刑している。
不同意わいせつの罪…元巡査部長の初公判
1月17日午前10時前、スーツ姿で法廷へ現れたのは、不同意わいせつの罪に問われている元上越警察署の巡査部長で、現在、無職の男(61)。

証言台の横のいすに座り、緊張したような面持ちで正面を見つめるようにしていた元巡査部長。
起訴状などによると、元巡査部長は2024年10月19日午後8時50分ごろから午後9時5分ごろまでの間、上越市内の自宅で知人の成人女性を手で抱き寄せたり、押さえつけたりして、無理やりわいせつな行為をした罪に問われている。
1月17日に開かれた初公判で起訴内容について問われた元巡査部長は「間違いありません」と認めた。
抵抗する知人女性に無理やり…「身勝手だった」
裁判では、事件の詳細についても明かされた。
元巡査部長と被害女性は仕事を通じて知り合った知人関係で、2024年10月中旬に元巡査部長が被害女性に対し、居酒屋で飲もうと誘い、数日後に居酒屋で飲むことが決まった。
当日、2人は居酒屋での食事後、元巡査部長の自宅に移動。この時の心境について元巡査部長は…
元巡査部長の男:
あわよくばということは確かに考えていました。ただ、あらかじめ準備したということはありません。
元巡査部長宅のリビングで酒を飲み始めた2人。はじめは離れたソファで座っていたが、元巡査部長がソファを横並びにしようと提案。
ソファを移動し、被害女性と横並びに座って酒を飲んでいたところ、元巡査部長は被害女性の左肩や頭部に左手を回した。
女性は「だめです」などと言いながら力を入れて抵抗していたが、元巡査部長は女性の頬を触り、抑えつけた。
さらに、被害女性が強引に引き寄せられたことにより身体が固まるなどして拒絶の意思を示すことができずにいると、被害女性の唇にキスをし、胸を揉むなどのわいせつな行為に及んだ。
その後も被害女性は「だめです」などと拒否し続け、帰る旨を告げるなどして元巡査部長の家から去ったという。
被告人質問では、裁判官から質問が及んだ。
裁判官:
「だめ」と言われても続けたのはなぜか。
元巡査部長の男:
雰囲気が良くなったから気持ちが高ぶり、同意があると勘違いしていました。同意なんてあるわけがないのに。最初から身勝手な考えでした。
検察側 懲役2年を求刑「酌量の余地は一切ない」
裁判で検察側は、被告人自身の欲求を満たすだけの身勝手な動機だったと指摘した。
検察:
被告人は被害者と2人きりの状況下において被害者が明確に拒否しているにも関わらず、それを意に介することなく、強引にわいせつ行為を続けている。被告人はなし崩し的にわいせつな行為ができれば良いと考えていた旨を述べ、本件当時には被害者と2人きりの状況などに気持ちが高まり、本件犯行に及んでいる。
こう主張し、「酌量の余地は一切ない」として、懲役2年を求刑。
「被害女性に取り返しのつかない心の傷負わせた」
一方、弁護側は執行猶予付きの判決を求めた。
弁護側:
被告は本件犯行をすべて認めている。深い謝罪をし、被害弁償金を弁護士に預けているなど、できる限りの行動をしている。深い反省を示していて、前科前歴もない。

事件を理由に2024年12月に懲戒免職となり、退職金は全額不支給となった元巡査部長。裁判の最後には…
元巡査部長の男:
私のしたことで皆さんに本当に迷惑をおかけしました。被害女性は私を信頼した上で私の家に来てくれて、一緒に酒を飲んだのにも関わらず、被害女性には取り返しのつかない心の傷を負わせ、許されるべきものではありません。二度とこのようなことはしないと心に誓っています。
判決は1月24日に言い渡される予定だ。
(NST新潟総合テレビ)