カナダで6日、トルドー首相が辞任の意向を表明した。
物価高騰や住宅不足で支持率が低迷し、党内外からの圧力が背景とされる。
アメリカのトランプ次期大統領は「カナダはアメリカの51番目の州になるべき」と、合併論を再び提起したが、大半の国民は反対の立場を示している。

支持率低迷受け…トルドー首相が辞任表明

カナダのジャスティン・トルドー首相は6日、首相を辞任する考えを明らかにした。

辞任を表明したカナダのジャスティン・トルドー首相
辞任を表明したカナダのジャスティン・トルドー首相
この記事の画像(11枚)

トルドー首相は6日、記者会見で「党首として、選挙で最善の選択肢になれないことが明確になった」と述べ、首相と与党・自由党の党首を辞任する意向を表明した。

カナダでは、物価高騰や住宅不足などの問題を背景にトルドー首相の支持率が低迷し、党内外から辞任を求める声が高まっていた。

トルドー首相は、2015年にカナダ史上2番目の若さとなる43歳で就任し、在任期間としては現職のG7(主要7カ国)首脳の中で最長となる。

辞任表明を受け、アメリカのトランプ次期大統領は、自身のSNSで、「多くのカナダの人々は、アメリカの51番目の州になることを望んでいる」とあらためて持論を展開し、そのうえで、カナダがアメリカと合併すれば関税もなくなり、中国やロシアの脅威からも守られるとして、「一緒になれば、どんなに素晴らしい国家になるだろうか!」と主張した。

多くの人が合併を望まず…82%が反対

ここからは、フジテレビ・立石修解説委員室長が解説する。

青井実キャスター:
ーー実際にアメリカが、カナダを合併することはできないですよね?

フジテレビ・立石修解説委員室長:
カナダは主権国家なので、現実的に無理です。第1次政権でトランプ氏は、トルドー首相に対し、「二枚舌」や「弱虫」といった痛烈な批判を繰り返していました。今回も貿易交渉で優位に立つため、求心力の落ちたトルドー政権への揺さぶりかと思われます。

青井キャスター:
トランプ氏は「多くのカナダの人々は、アメリカの51番目の州になることを望んでいる」などと発言しています。

カナダがアメリカと合併すれば関税もなくなり、中国やロシアの脅威からも守られるとして、「一緒になれば、どんなに素晴らしい国家になるだろうか!」と訴えています。

ーーアメリカとカナダは隣国ですが、カナダに住む人はどう思っているんですかね?

立石解説委員室長:
カナダメディアによると、トランプ発言を受けた世論調査では82%が反対しています。13%が「肯定的」とのことですが、カナダの政治学者によりますと、これは非常に限られた、限定的な層であると指摘していて、やはり多くの人が合併を望んでいないということです。

青井キャスター:
そんな中で、カナダのトルドー首相が、首相を辞任する考えを明らかにしたわけです。

ーーカナダでは物価高騰や住宅の価格高騰などの問題を背景に、トルドー首相の支持率が低迷し、党内外から辞任を求める声が上がっていたということですが、そんな中でのトランプ氏の強硬姿勢 どう見ますか?

スペシャルキャスター・山口真由さん:
カナダとアメリカは、国としても近いわけです。何が違うかと言えば、カナダの方がよりリベラルだし、トルドー首相はかつてその象徴的存在だったわけです。今、トランプ氏の強硬姿勢の前に、あの時ハツラツとしていたトルドー首相が急速に色あせて見える。世界的なリベラルの退潮っていうのを、“トランプ主義”の前に私は感じました。

青井キャスター:
ーーカナダも日本も、同じG7で、アメリカとの関係が深い同盟国ですよね。今後、トランプ氏は日本に対しても、強硬姿勢は変えないのでしょうか?

立石解説委員室長:
トランプ氏は、トルドー首相と対立関係なので、首脳同士の関係性が大きく影響します。
最初の日米首脳会談がどうなるかが注目されます。
(「イット!」1月7日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(11枚)