2025年11月に日本で初めて開催される、聴覚障がい者のスポーツの祭典「デフリンピック」。サッカー競技の会場は、福島県の「Jヴィレッジ」だ。地元・福島から憧れの舞台を目指して挑戦する選手がいる。

様々なスポーツに挑戦

福島市の西戸湖乃華さん、22歳。福島県内でただひとり選ばれた、聴覚障がいがある人のサッカー「デフサッカー」の日本代表候補だ。

日本代表候補の西戸湖乃華選手
日本代表候補の西戸湖乃華選手
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生まれつき両耳の聴力に障がいがある西戸さん。幼いころから体を動かすことが大好きで、ソフトテニスやサッカーなど様々なスポーツに取り組んできた。
中学生の時にはソフトボールに熱中。この時に培った肩の力が、ある競技との出会いをもたらした。それが、「やり投げ」。

ソフトボールに打ち込んでいた中学生の頃
ソフトボールに打ち込んでいた中学生の頃

高校陸上部の顧問に肩の強さを見込まれて挑戦すると、遠くに飛ばす技術を磨く楽しさの虜になった。3年生の時に出場した全国聾学校陸上競技大会では、自己ベストの記録32m18cmで準優勝を果たした。

挫折 自慢の肩をケガ

「やり投げ」で小学生の時から憧れていた聴覚障がい者のスポーツの祭典・デフリンピックへの出場を目指すようになった西戸さん。

やり投げでデフリンピック出場を目指していたが…
やり投げでデフリンピック出場を目指していたが…

しかし、自慢の肩をケガしてしまう。ケガをした右肩は、リハビリを重ねたが本来の調子に戻ることはなかった。父の則幸さんは「もうダメかなと言ったときは、落ち込んでいたので心配というか、なにか違うのを見つけてくれればなという思いでいた」と当時を振り返る。

「デフリンピックに出たい」

大きな挫折を経験した西戸さん。そこから立ち上がり、再びスポーツへの情熱を取り戻させたのが社会人から始めたデフサッカーだった。

サッカーの練習は父とともに
サッカーの練習は父とともに

西戸さんは「サッカーは小学生以来というのが大きな不安だった。デフリンピックに出たいという気持ちは変わらないので、一から始めることになるがそれでもやりたいという気持ちがあった」と語る。

スポーツの魅力を伝える存在に

仕事終りに、父の則幸さんと練習に励んだ西戸さんは、日本代表候補に選ばれるまでの実力をつけた。父の則幸さんは「サッカーに出会って、社会人ながらに練習頑張って。そういうのを見ているだけでも親としては誇らしい。応援団長の気持ちで、頑張っているのだからそこは付き合わなくては」と話す。

応援団長と話す父・則幸さんと
応援団長と話す父・則幸さんと

「スポーツは楽しいということを伝えたい。自分はできるだけ積極的にアピールして日本代表に選ばれたら、夢が叶うことがあると伝えられる存在になりたい」と話す西戸さん。目指すは、デフサッカー日本代表。自分自身の活躍で、デフスポーツの魅力を多くの人に伝えたいと考えている。西戸さんの挑戦は続く。

(福島テレビ)

福島テレビ
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