2024年のプロ野球、セ・リーグは巨人が4年ぶりに優勝し、パ・リーグはソフトバンクが4年ぶりに制覇、日本シリーズでは、リーグ3位から勝ち上がったDeNAが26年ぶりに日本一の栄冠を勝ち取った。
フジテレビ系列12球団担当記者が、そんな2024年シーズンを独自の目線で球団別に振り返り、来たる2025年シーズンを展望する。
第6弾は、2024年パ・リーグ3位だった千葉ロッテマリーンズ。
チームの課題
24年は71勝66敗6分けの3位でレギュラーシーズンを終えたロッテ。70勝68敗5分けで2位だった23年の勝率は上回ったが、順位は下げてペナントレースを終えた。

振り返ると好不調の波が激しいシーズンだった。
5月14日のオリックス戦から6月1日の阪神戦にかけて15試合連続負け無し、19年ぶりの11連勝を記録し、この期間は相手に先制されても逆転する気配しかしなかった。
しかし、23年同様チームがイケイケのときはとことん調子は良いが、その逆も同様、とことんダメなときは連敗がなかなか止まらなかった。
4月19日の日本ハム戦から7連敗、交流戦は7勝9敗2分の負け越し。7月は再び13勝9敗と勝ち越し、8月に今季最多の貯金12としたが、18日のソフトバンク戦から今度は5連敗。
チームとしての好不調というところに課題を残した。
投手陣の安定
24年はチーム防御率3.17でリーグ5位も、昨季の3.40からは大幅に改善した。
佐々木朗希(23)、種市篤暉(26)、小島和哉(28)、さらにベテランの唐川侑己(35)やシーズン途中に加入した助っ人左腕のカイケル(37)らの活躍もあり、ローテーションは安定していた。

一方、リリーフ陣は23年のブルペンを支えた坂本光士郎(30)や西村天裕(31)らの状態が上がらなかったが、その中で4年目左腕の鈴木昭汰(26)がチーム最多の51登板を記録するなど大ブレイク。
その他にも、国吉佑樹(33)が球団記録となる24試合連続無失点を記録し、5年目の横山陸人(23)も43登板で防御率1.71と安定感を見せた。
キャリアハイ更新多数も助っ人頼みの打線
野手陣を見てみると若手、中堅とキャリアハイの数字をマークした選手が多数存在。
キャッチャー・佐藤都志也(26)は初めて規定打席に到達し打率.278(パ・リーグ2位)。
11月に行われたWBSCプレミア12で日本代表に選出された。
内野手の小川龍成(26)は23年までプロ3年間、通算107打席で9安打のみだったが、24年は打席での粘り強さが増し、粘って粘ってフォアボールで出塁するなど打撃スタイルを確立し、261打数63安打、打率2割4分1厘。
7月30日の西武戦では同点で迎えた9回裏、ツーアウト満塁の場面で三塁へセーフティバントを成功させサヨナラタイムリー。この試合がパ・リーグの年間サヨナラ大賞に選ばれた。

外野手の岡大海(33)はプロ11年目にしてキャリハイの打率.287。プロ野球新記録となる8試合連続二塁打を達成するなど存在感を示した。
そして2018年のドラフト1位・藤原恭大(24)は追い込まれてからノーステップ打法に切り替え好調をキープし打率.290。
若手、中堅が成長したシーズンとなった。
しかし、昨シーズンから課題に挙がっていた和製大砲が出てこず、ソト、ポランコに頼ることになった。
優勝するためには山口航輝(24)、安田尚憲(25)、この2人の覚醒が必須。
入団当初から長距離砲として期待されるも本来のポテンシャルを出し切れていない。また、ファームでホームラン王と打点王に輝いた山本大斗(22)にも期待がかかる。来季こそは外国人と共に打線を引っ張る核となる選手は現れるのか。
佐々木朗希 メジャー挑戦を表明

11月9日、球団は佐々木朗希(23)のポスティングシステムによるメジャーへの移籍に向けた手続きを開始すると発表。
佐々木は入団当初から、早期にメジャー挑戦したい意向を球団へ伝えていた。
現行の大リーグの労使協定による「25歳ルール」のため、マイナー契約しか結べず年俸も低く抑えられる。それでも球団は若き右腕の背中を押す決断を下した。

吉井理人監督:
「チームとしてはもちろん、とても痛いです。ただ自分もアメリカでプレーをしたことがあるので気持ちはものすごくわかります。そして若い今、チャレンジしたいという気持ちも分かります。
未完成な部分は正直、まだまだありますが、アメリカで自身を磨き、さらにレベルアップすることもできるのではないかとも考えます。
2020年、石垣島キャンプのブルペンで初めて目にした彼の投球は私にとって野茂英雄を初めて見たとき以来の衝撃でした。それを向こうでぜひ証明してほしいです。頑張ってください」
佐々木朗希:
「入団してからこれまで継続的に将来的なMLB挑戦について耳を傾けていただき、今回こうして正式にポスティングを許可していただいた球団には感謝しかありません。
ロッテでの5年間はうまくいかなかったことも多かったですが、どんなときもチームメイト、スタッフ、フロント、そしてファンの皆様に支えられながら、野球だけに集中してここまで来ることができました。
一度しかない野球人生で後悔のないように、そして今回背中を押していただいた皆様の期待に応えられるように、マイナー契約から這い上がって世界一の選手になれるよう頑張ります」
朗希の後釜は“マリンの申し子”石川柊太を獲得

12月11日、球団はソフトバンクから国内フリーエージェント(FA)宣言した石川柊太(33)を獲得したと発表した。
石川は本拠地となるZOZOマリンスタジアムとは相性抜群、マリン特有の強い風は最大の武器であるパワーカーブの威力が増す。
ZOZOマリンでは2017年8月に負けて以降、過去7年間で7連勝中。24年も3試合の登板で2勝0敗、防御率0.00と無類の強さを誇る。
石川柊太:
「野球人生の次のステージを千葉ロッテマリーンズさんでスタートさせていただくことが決まりました。リーグ優勝、日本一を達成し、吉井監督を胴上げし、ファンの皆様に喜んでいただける投球をする覚悟と勇気を持って戦っていきます」
佐々木朗希に加え、メルセデス、カイケルといった実績十分の先発陣がチームを去る中、頼もしい右腕が加わった。
VISION 2025

ロッテには2021年に設定した「VISION 2025」という球団目標がある。
地域との共生やブランド力の向上などと共に2025年までには日本一を獲得して常勝軍団を作り出すビッグプラン。そのプラン達成には来年、絶対に優勝を掴む必要がある。
5年で4度のAクラスと着実に力をつけ、いよいよ頂点に上る日を迎える。
千葉ロッテマリーンズの栄光のシーズンは2025年3月28日、福岡でのソフトバンク戦から始まる。
(文・林浩志)
『すぽると!』
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