30℃を超える日が増え、高校野球にも夏が訪れた。多くの3年生にとっては最後の大会になる。
今年の「夏の甲子園」優勝候補である群馬県の健大高崎高校には、かつてダブルエースとして投げ抜き優勝を果たした2人の投手がいる。そんな2人が最後の夏に向け誓ったこととは。
甲子園を沸かせたダブル
群馬県の健大高崎高校には、去年ダブルエースとして春のセンバツ大会、通称春の甲子園を優勝へと導いた投手がいる。
それが当時2年生の佐藤龍月(りゅうが)・石垣元気。2人で初戦から決勝戦まで全イニングを投げ切り、初の全国優勝に導いた。
その中でも佐藤は、22イニングを無失点とし、「ミスター0」と称される活躍を見せ、大会を象徴する選手となり、決勝戦は8回までを石垣が投げ最後を佐藤が締めた。
佐藤:
(決勝は)もう指の豆がつぶれていたので、その痛みに耐えながらですけど、一球一球魂を込めて投げました。本当今まで経験したことないような喜びでした。

ダブルエースを擁する健大高崎は史上8校目の春夏連覇に向け、夏の甲子園出場を決定させた。しかし、思いもよらぬ悲劇が…。
エース佐藤が地区予選決勝の途中で左肘を負傷。その夏の甲子園でベンチ入りメンバーから外れることを余儀なくされた。
佐藤:
ちょこちょこ痛みはあって、3回戦の桐生第一戦が終わって寮に帰ってきた時にシャンプーしようとしたら、シャンプーできないくらい痛かったんで、そこでやばいなと思いました。
エースとしての自覚
背番号1を引き継ぎエースとなった石垣。新チームとして迎えた去年秋の関東大会をベスト4で終え、春のセンバツ大会への出場権をつかんだ。
しかし石垣は、春のセンバツ大会を前に「エース」と言う肩書と向き合っていた。
石垣:
1番をもらって自覚と責任を持つようになって、理想とするエースになりたいと思っています。自分がピッチャーのリーダーという感じなので引っ張っています。
ダブルエースとして共に戦ってきた佐藤がマウンドにいない春のセンバツ。佐藤の分まで思いを背負い、大会に臨んだ。

エースナンバー1を背負う石垣元気
歩み出した復帰への一歩
今年の1月、佐藤は昨夏に行ったトミー・ジョン手術の影響で、3年次の春大会は野手としての復帰を目指すこととなり、投手陣とは別のメニューで調整を続けていた。
佐藤:
手術したあと、(石垣)元気が定期的に話しかけてくれて(自分は)チームから突出した存在でもあったので、それだけでもチームに入れた気がして助かりました。
石垣:
(佐藤の)リハビリの動画を見て、自分ももっと頑張らないといけないという気持ちにっていました。
大会連覇へ 去年と異なる2人の立場
石垣がエースとして迎えた今年の春のセンバツ大会。そのベンチには佐藤の姿もあった。佐藤は持ち前の打撃を買われ、代打枠としてメンバー入りを勝ち取った。
石垣:
絶対に入ると思っていたので、特にびっくりすることもなく、一緒に頑張っていきたいなという気持ちになりました。佐藤が(ベンチに)いるだけで雰囲気も変わりますし、自分としても心強いです。うれしいというか、一緒に頑張っていきたいなと思っています。
健大高崎は順調に勝ち進むも、優勝した横浜高校に敗れベスト4で敗退。大会期間中、佐藤は3度代打で出場した。
佐藤:
去年自分がこの応援を受けてプレーしていたんだなと考えたら、本当に涙がベンチの中で出そうになりました。
一方の石垣は、この大会で一気に注目度を高めた。3回戦の敦賀気比高校戦では、大会最速記録となる155km/hをマークした。
佐藤:
甲子園という舞台で155km/hというのはすごいことだと思うので、まだまだ上を目指してやってほしい。
高校生活最後の夏に向け
5月、石垣は関東大会で自己最速となる156km/hを記録し、ますます注目度を高めた。校内で行われる練習試合であってもスカウトが訪れるほどだ。
日に日に注目度を高めていく石垣の裏で、佐藤はようやくブルペンでの投球練習を再開し、6月下旬の練習試合で実戦復帰を果たした。
佐藤:
(春のセンバツでベスト4進出できたことは)チームの中で自信になったと思います。
7月3日、ベンチ入り20名が決まるメンバー発表。
監督がまず名を呼んだのは石垣元気、エースナンバーは春と同じ剛速球投手に手渡された。
そして次々とメンバーが発表される中、佐藤龍月には背番号8が渡され、この夏は外野手として出場するだけでなく、投手としてもチームを支えることとなった。
石垣:
頼もしいピッチャーが帰ってきてくれて待ち遠しかった。また一緒に投げられることが楽しみ。
2人で誓ったこと

最後の夏、1年次から共に戦ってきた2人で誓ったことがある。
それは「2人で甲子園のマウンドに再び立つこと」
石垣:
(高校2年の時)春以来、2人で甲子園のマウンドに立てていないから、夏また甲子園に行って一緒に投げたい。
佐藤:
3年間ダブルエースとしてやってきた石垣元気と一緒に投げるということを想像したらワクワクしますね。
石垣:
(決勝戦は9回へ)つないで最後龍月に1イニング。また三振を取ってマウンドに集まる。そのためにも俺らピッチャー陣もつなげるように頑張る。
去年の春、甲子園を沸かせたダブルエースが最後の夏に再び頂をつかめるか。とても楽しみな夏が始まった。
『すぽると!』
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