政府が児童手当の増額と扶養控除の縮小を検討していることが議論を呼んでいる。
児童手当は拡充されたが、扶養控除が減らされることで、所得によっては手取りが増えない可能性がある。
国民民主党は、扶養控除の維持を求めている。
児童手当増額と扶養控除縮小…手取りはどうなる
年末は、税に関する協議が本格化する季節だ。
そんな中、子育て世帯をめぐる身近な税の議論が波紋を広げている。
それは、扶養控除の縮小だ。

26日のテーマは、「児童手当増えたのに扶養控除縮小?ソレってどうなの?」だ。
10月から児童手当の対象が拡大された。
これにより、第3子以降の支給額が大幅に増え、支給対象もこれまでの中学生までから高校生世代まで拡大し、所得制限もなくなった。
東京・有楽町で子育て世代の皆さんに伺った。
子育て世代:
増える分にはありがたいですね。もっと欲しいくらいです。
子育て世代:
正直うれしいです。少しでも長くなったらうれしい。貯蓄やね。貯金して(子どもに)将来渡す。
子育て世代:
ありがたいです。これからどれくらい子育てにお金がかかるか分からないので、ちょっとでも、もらえるものがあれば。

ところが、うれしいことばかりではなかった。
こうした動きの一方で、高校生の子を持つ親の扶養控除の縮小などが2023年から議論されてきた。
現在は、所得から扶養控除の38万円を差し引いて所得税を算出しているが、これを13万円縮小して25万円に、また住民税の控除も33万円から12万円に減らす方向だ。
つまり、払う税金が多くなることになる。
問題は、税制改正が行われた場合、児童手当のプラスと扶養控除のマイナスの差し引きで手取りがどうなるのかという点だ。

高校生の子ども1人の場合、月に1万円で年間12万円の児童手当がもらえる。
つまり、年間12万円プラスとなる。
しかし、扶養控除が減額されないのは非課税世帯だけで、年収500万円だと差し引き9万2000円、年収800万円だと7万2000円に目減りする。
つまり、手取りは増えるものの、所得によって受けられる恩恵が違ってくるということだ。
再び、子育て世代の皆さんに伺った。
子育て世代:
税金をたくさん払っているので、もらえるものはありがたいと思うが、控除が下がるのはやっぱり嫌ですね。
子育て世代:
分かりやすくしてほしい。増えた減ったとか、ちょっと難しくされると、だまされているような感じになります。
国民民主党・玉木代表が扶養控除の維持求める
青井実キャスター:
ーープラスとマイナスという手法ですけど、財務省出身の山口さんはどう考えられますか?

スペシャルキャスター・山口真由さん:
そもそも配偶者控除は充実してるのに、子どもの扶養控除については16歳以上に限定されているんですよね。こういう控除のあり方全体が、今の家族の形に合ってるのかなというふうにも思いますよね。
青井キャスター:
そんな中、新たに税制の議論に加わることになった国民民主党が、与党側に扶養控除の維持を求めました。玉木雄一郎代表は、2023年の時点でこう訴えていました。
国民民主党・玉木雄一郎代表(2023年):
高校生の扶養控除を縮小すべきではありません。(税制)大綱に縮小額を明記するようなことはさせないようにしましょう。

青井キャスター:
では、児童手当を増やしたまま、扶養控除は据え置くことは本当にできるのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの資格を持つフジテレビの智田裕一解説副委員長に、今後のポイントについて聞きました。
フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
もともとこの控除は縮小することが決まっていて、正式な結論を2024年の年末に得ることになっていました。これ以外にも国民民主党の求めに応じて、議論しなければならない税制のテーマは、「103万円の壁」の引き上げのほか、バイトする大学生を持つ親の税金を軽くする仕組み、ガソリン税の扱いなど山積みです。12月中旬とされる取りまとめまで、時間的な余裕がないのが現実で、どう折り合いをつけるのか難しい調整が続きそうです。
青井キャスター:
越えなければならない壁が山積する中、どのように「手取りを増やす」のか。
年末の議論に注目していきましょう。
(「イット!」11月26日放送より)