演歌歌手の八代亜紀さんが2023年12月30日、亡くなった。73歳だった。八代さんが罹患した膠原病(こうげんびょう)の初期症状などについて、専門家に聞いた。

八代さんが罹患した「膠原病」とは

八代さんは2023年9月、膠原病(こうげんびょう)を患っていることを公表したが、膠原病とはどんな病気なのか、名古屋掖済会病院・膠原病リウマチ内科の田口雄一郎部長に聞いた。

体には免疫があり、外から入るウイルスなどを「敵」として認識して自分の体とを区別して退治するが、この区別が曖昧になって自分の体も攻撃してしまう病気を総称して「膠原病」と呼ぶ。

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区別があいまいになってしまう原因は遺伝なども考えられているが、詳しくはわかっていない。

田口部長によると、この区別を元通りにする治療はまだなく、ステロイドなどを使って免疫全体を低下させることで対処しているという。

初期症状は痰がからまない咳や息切れに筋肉痛など

膠原病には様々な種類があり、治療方針や重篤性も変わってくる。広く知られているのは「関節リウマチ」だ。自分の「関節」が攻撃され、関節痛をはじめとする症状が現れる。

今回、八代さんが発症したのは「抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎」。肩や二の腕、太ももなどの筋肉や指先や肘・ひざの皮膚が炎症を起こす疾患で、空咳や呼吸苦といった肺の症状も出ることがある。

この病気は急速に進行する上、治療も効きにくく、八代さんも発症した「間質性肺炎」を合併しやすいという。

肺の中で膨らんで酸素を血管に送り込む肺胞のまわりの壁を「間質」というが、間質性肺炎はこの壁が炎症などで固くなって上手に血管に酸素を取り込むことができなくなる病気だ。

呼吸不全などにより亡くなることが多く、田口部長が診た患者では20代~70代までいて、男女問わずかかる可能性がある。

発症後1カ月後に亡くなった人もいるという。

こうした病気には初期症状がある。

痰がからまないセキが続く、息切れ、持続する筋肉痛、指先・肘・膝などに皮膚潰瘍といった症状がある場合、早期であるほど治療を進められる可能性が高まるため、田口部長はかかりつけの医師に相談をしてほしいと話している。

2024年1月12日放送

(東海テレビ)

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