長崎・佐世保市出身の漫画家でイラストレーターの大原由軌子さんが、長崎の街を巡りながら目的地である神社で「御朱印」を集める企画をシリーズで紹介する。1回目は、長崎市新大工町を巡り中川八幡神社を目指す。

活気あふれる商店街で出会った懐かしの…

長崎市新大工町の商店街に足を踏み入れた大原さんは、その活気と品ぞろえの豊富さに驚きの声を上げた。

長崎市新大工町の商店街を散策する大原由軌子さん
長崎市新大工町の商店街を散策する大原由軌子さん
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昭和の雰囲気が色濃く残る店舗が点在し、時空を超えたような不思議な空間が広がっている。「もう必要なものが全てある」と感動する大原さんの目に飛び込んできたのは、懐かしいキユーピー人形だった。店主によると、かつては人気商品だったが、今では昔を知る人だけが反応するという。大原さんは幼少期の思い出を語り始めた。

昔懐かしい「キユーピー人形」
昔懐かしい「キユーピー人形」

大原由軌子さん:
小学生の時に好きになったキユーピーちゃんがいて、そのキユーピーに僕、私という名前を付けて、めちゃくちゃかわいがってたんですけど。

小学生の頃のキユーピーの思い出を熱く語る大原さん
小学生の頃のキユーピーの思い出を熱く語る大原さん

目の大きさや瞳の表情に魅了された大原さんは、思わず「あなたね、あなたなのね」と語りかけ、懐かしさと新たな出会いの喜びに包まれた。

背中を押してもらえる御朱印

いよいよ中川八幡神社に到着した大原さんは、御朱印帳を広げ、初めての御朱印体験に臨んだ。目の前で繰り広げられる筆遣いに魅了され、その美しさに感動の声を上げた。

神社では、月替わりと季節替わりで描かれる招き猫の絵と心の言葉、そして消しゴムはんこを使った独特の御朱印が人気だという。取材に訪れた2021年4月の御朱印には「親子猫が目白と一緒に満開の桜の下日なたぼっこ中」という春らしい絵柄が描かれていた。他にも「心配よりも心くばり」や「雲の上はいつも青空」など10文字程度のわかりやすく、温もりのある言葉が綴られ、厄や不安を抱えて参拝に訪れる人の心を少しでも軽くしたいとの思いが込められている。

御朱印を担当する中川八幡神社の宮司・豊正路さんは「色々不安を抱えていらっしゃる方も多いですので、少しでもこのご支援をいただいて、そしてこの言葉や招き猫たちから少し背中を押してもらえるような、そういったものを毎月工夫してお書きをしております。これから満開の花を咲かせてください」と渡してくれた。
ちなみに、2024年12月の御朱印はその年の干支・辰から来年の干支・巳へとバトンタッチする絵柄で、季節やその年の干支などをモチーフにしているものもあるという。参拝に来るたびに御朱印からも季節の移ろいを感じたり、背中を押してくれるような言葉との出会いがあるかもしれない。

5泊6日の旅をしたような充実感

御朱印さんぽを終えた大原さんは、その充実ぶりを熱く語った。商店街で触れた昭和の空気、和菓子職人の技、そして神社での御朱印体験。これらの経験を通じて、大原さんの心は子どもの頃にタイムスリップしたかのような感覚を味わったという。

大原由軌子さん:
神様のことを意識しながら感謝することを常に考えるっていうのも、また日常変わってくるのかなっていう風にすごく思いました。

単なる散歩ではなく、過去と現在、そして未来へとつながる旅路を歩んだことで、大原さんの心に変化が訪れたようだ。長崎市新大工町での御朱印さんぽは、懐かしさと新しい発見、そして感謝の気持ちが交差する、心温まる旅となった。

大原由軌子さんのプロフィール

長崎県佐世保市出身。パニック障害+神経症持ちの夫との日々を描いた『大原さんちのダンナさん このごろ少し神経症』で漫画家デビュー。著書に思春期の問題をテーマとした『大原さんちの不登校』などがある。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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