バットの打撃にも耐える性能
そもそも「防犯フィルム」とは、窓ガラスを割って侵入者が室内に押し入るのを防ぐことを目的としたフィルムのことを指す。

ガラスが割れた際の破片の飛散を防止する「飛散防止フィルム」と似ているが、防犯フィルムは「ガラスを破壊する時間を長引かせ、ガラス破りによる侵入を難しくさせる」ことを目的としている。
厚さも異なり、飛散防止フィルムの総厚(フィルムを構成する3層の厚み)が50μm程度であるのに対して、防犯フィルム適合製品の総厚は350μm以上とされている。
製品と施工が一定の基準を満たしていれば、焼き破り(ガラスを熱してから割る方法)、こじ破り、バットなどを使った打ち破りなどに一定時間耐えられる効果を期待できる。

ウインドウ・フィルム工業会が公開している実験動画では、フィルムなしの場合バットの打撃1回でガラスが粉々になったのに対して、フィルムありの場合は3回の打撃でも穴はできずにガラスの飛び散りも圧倒的に少なかった。
素人には難しい理由
この防犯フィルムをガラスの全面に貼ることが、そもそも訓練を受けていない人には難しいという。
技能士がフィルムを貼る手順は次のとおりだ。
まず、ガラス全面をフィルムで覆うために、ガラスに合ったサイズにあらかじめカットしたフィルムを用意することが必要。
保護シールを剥がし、窓とフィルムの糊面に水を拭きかける。フィルムを濡れたガラスに貼り付けたら、スクイージーを使ってガラスとフィルムの間の水分を押し出して密着させる。
施工の際の水分が完全に抜け切るまで、夏場で約1カ月、冬場で約2~3カ月かかる。この期間を「養生期間」といい、防犯フィルム本来の性能が発揮できないとのことなので、留意してほしい。
「フィルムをガラスのサイズぴったりにカットすることも、水分をしっかりと押し出すことも、訓練を受けていない方には難易度が高い作業です。自分で貼っても全く効果がないわけではありませんが、防犯効果を望むなら、技能士に依頼することをお勧めします」
では、技能士に依頼して防犯フィルムを貼りたいときはどうすれば良いのだろうか。

「日本ウインドウ・フィルム工業会の公式サイトの『防犯フィルムを施工してCPマークを貼付できる施工店一覧』をご覧いただくか、工業会に電話かメールでお問い合わせください。もし近くにガラス店、工務店などがある場合は、問い合わせてみるといいでしょう」
なおその際、フィルムは自分で購入しないほうがスムーズとのことだ。