宜野湾市普天間で名物となっている一本の大きな松の木。いつからあるのか詳しい事を知っている人はほとんどいない。
現在、街の再開発が進められる中で、この松の木の行方に地域の人が関心を寄せている。そのまま残すのか、他の場所に移植するのか、それとも伐採するのか。戦前、松並木が有名だった普天間で、1本の松の木と街の人たちの思いを取材した。
戦前、美しい松並木が
沖縄テレビ 小林美沙希キャスター:
このあたりに地域でも有名な大きな松の木があるということで、どんな木なのか取材してきます

どんな松なのか…まずは近所の方に聞いてみた。
Q.大きい松の木があると聞いて取材に来たんですが
ミヤ美容室 赤嶺民子さん:
あれはもう私たちの小学校1年生、70何年か前の話ですが、そのときからあります。もう樹齢長いですよ

赤嶺徳雄さん:
戦前からあると思いますよ。この通りは松並木だったんです、戦前は。普天満宮の関係で。だからその名残で一本こっちに残っているんじゃないかと思います
戦前、宜野湾には国の天然記念物にも指定された美しい松並木があったそうだ。

しかし、沖縄戦で日本軍から伐採命令が出され、戦後わずかに残った松も道路拡張などの都市計画や松食い虫の被害を受けて切り倒され、その姿を消した。
話題の松はどんな松?
現在も普天間では市のまちづくり事業の一環で、再開発が進められている。

ミヤ美容室 赤嶺民子さん:
そこが宜野湾市の立ち退き地域になっているので、あの松どうするのか。もったいないとしょっちゅう話しています
しばらく歩いてみると、松の木が見えてきた。
沖縄テレビ 小林美沙希キャスター:
ありました。大きな松の木。道の反対側まで枝が伸びていますね

高さ10メートル以上、幅およそ18メートルの大きな松が生えているのは、「総合修繕屋 守ハウス」の敷地内だ。

Q.樹齢は大体何年ぐらいですか?
総合修繕屋 守ハウス 嘉手苅孝 代表:
たぶん100年はなるんじゃないのという話ですね。そうじゃないと、幹回りがこんな風にならないと、松に詳しい方が。でもやっぱり、となり近所に聞いても分からないんだよね。これを見た誰かが、「これ何歳だよ」って教えてくれたらおもしろいんだけど

2006年にこの建物を借り受けたという嘉手苅さん。建物の修繕などを手掛ける会社を営んでいる。

総合修繕屋 守ハウス 嘉手苅孝 代表:
守るおうちということで“守ハウス”。建物を修理する。こういった古材料なんか使いながら、いろいろ不具合を直すという仕事に徹している。数字も大事だが、数字は二番にして思いやりを一番にしている

嘉手苅さんのモットーは「一日一善」。
公民館に軽トラックを寄贈するなど、地域にも貢献している。

総合修繕屋 守ハウス 嘉手苅孝 代表:
自分ができることをやろうと思って。大きい少ないは別にして、自分はこのくらいできると。あげるからにはいいものをと思って、ちょっと無理したけどね
地域の迷惑にならないよう、落ち葉の掃き掃除など松の手入れも欠かしていない。

大きな松はいつしか地域の名物にもなっていたようで…
総合修繕屋 守ハウス 嘉手苅孝 代表:
結構ね、夜にこうやって触りに来る人たちがいるのよ。たまたまいたら「触っていいですか」とかね。どうぞ、どうぞって。いい感じだからね。なんでこんなに長い間、誰にも切られなかったのか誰もわからないんじゃないかな。残っているということは何なのか。残した方がいいと思うんだけど
嘉手苅さんが調べたところ、この松は戦前、普天間の名物だった松並木とは異なる松だろうということだが、懐かしい地域の風景であることに変わりはない。
残せるものは残したい
店の周辺では再開発の一環で老朽化した建物などが取り壊され、街並みが変わりつつある。
総合修繕屋 守ハウス 嘉手苅孝 代表:
こういう風景が少なくなっていく。やっぱり残せるものは残していきたいなと思うんだけど。捉え方はいろいろあるんでしょうけど、やっぱり幸せを配っていると思うよ。守り神だと思う

長い歳月を重ねてすくすくと育った松の木は、きょうも地域を見守っている。
(沖縄テレビ)