ビジネスの場面であっても、常に相手の意見や考え方を100%「受け入れる」必要はなく、場面に応じて「受け止める」だけでも、相手は「ちゃんと話を聴いてくれた」と安心し、議論を前に進めることができます。

また、食べ物同様に、自分に合わない意見や考えを無理やり取り込まず、手前に止めておくことで、アレルギー反応の発生を防ぎ、苦しくならずに済みます。

あえて「そのうえで」で切り返す

とはいえ、ビジネス上、どうしても相手に反論したくなったり、相手の誤解、間違いを指摘せざるを得なかったりするときもあるでしょう。

そんな場面でもやはり、対立を生み出す「でも」や「しかし」といった「逆接の接続詞」は避けたほうがいいでしょう。

では、「逆接の接続詞」を使わずにどう対処すればいいのでしょうか?

『トヨタで学んだハイブリッド仕事術』(青春出版社)より
『トヨタで学んだハイブリッド仕事術』(青春出版社)より

社内で部署間の主張が異なり激論が交わされる中で、コミュニケーション力に長けた営業の先輩が使っていたのは、「そのうえで」や「さらに」という接続詞でした。

話の流れからすると、「そのうえで」や「さらに」といういわゆる“順接の接続詞”は日本語の文法として誤りですが、相手にむやみに反論してしまうことを避けるために、あえて「そのうえで」や「さらに」といった接続詞を使っていたのです。

例えば、あるお得意先から急な追加注文の依頼が来たとします。営業部としてはなんとか要望に応えたいと思っても、製造部門のトップは「追加生産は無理」の一点張りです。