「15分早く帰るために減らせるムダは?」
そんな問いをされたとき、どんな“仕事のムダ”が思い浮かぶだろうか。
著者の森琢也さんが、約10年間勤めたトヨタグループで学んだ仕事術は、ムダの徹底排除をすることで時間や手間を減らし、成果を最大化させること。
ムダを減らすことで仕事が効率化し成果を出すために、そしてやみくもに頑張らないためにはムダの洗い出しが必要になる。しかし、それでもまだ“隠れたムダ”があるかもしれない。
『トヨタで学んだハイブリッド仕事術』(青春出版社)から、「あと15分早く帰るための隠れたムダの見つけ方」を一部抜粋・再編集して紹介する。
自問自答程度では見つからない
ポイントは気づかないムダが潜む「7つのスポット」。
カイゼンは単発で終わらせるのではなく、PDCAを回すように継続的に取り組みながらブラッシュアップしていくことが大切です。
PDCAを回しながら取り組んでいくときに、私がよく言うのは「さらにあと15分、早く帰る方法を考えましょう」ということです。
この記事の画像(4枚)「さらにあと15分、早く帰る」を考える際、「どこかにまだ隠れたムダはあるかな?」と漠
然と自問自答しながら見つめ直す程度では、これまでさまざまな方法で取り組み、それでも見落とされてきた「仕事の奥の奥」に潜むムダを見つけることはできません。
そこでみなさんにはぜひ、トヨタの製造現場で指摘されている「7つのムダ」に着目し、再度、自分の仕事のムダ、ムダな仕事を見極めていく作業を行ってほしいと思います。
丁寧にやりすぎてない?
トヨタ流ムダの7大スポットをオフィスワークに応用していきます。
【7つのムダ】:【オフィスワークに置き換えた例】
(1)つくりすぎのムダ:考えすぎ、こだわりすぎ、丁寧にやりすぎのムダはないか
レポートや文書を要求以上に詳細に作成し、結果的に読まれずに終わる。会議用に参考資料を過剰に準備するが、実際の会議でほとんど使われない。
(2)手持ちのムダ:待ち時間のムダはないか
役員の到着が30分遅れたのでその間、ぼーっと過ごしている。会議用の予約が取れずに、重要なプロジェクトの打ち合わせができずにいる。
(3)運搬のムダ:書類や商品を運ぶ手間が生じていないか
契約書が紙媒体なので、郵送に手間と時間がかかる。出荷準備が遅れて、配送業者の受付時間に間に合わず、商品を直接送り届けなければならなくなる。
余計な仕事をしていないか?
(4)加工そのもののムダ:目的がずれて余計な仕事をしていないか
データ入力やフォーマット調整など、本来の業務目的に直接貢献しない作業に多くの時間を費やしている。
(5)在庫のムダ:余分な情報収集をしていないか
参考文献や統計データのコピーが使用されずたまっている。過剰な備品やパンフレットが倉庫に積み上がっている。
(6)動作のムダ:余計なアクションや面倒な手続きはないか
情報を探すためにファイルキャビネットや電子メールの中を何度も行き来するなど、非効率的な動作。
(7)不良のムダ:間違いやミスにより、余計な手間が生じていないか
日時記載ミスにより訂正メールを送り直す。依頼内容を取り違えたまま作業を進め、全てやり直しになる。
この7つのムダは、製造現場のカイゼンで真っ先に検討されるポイントです。
これらのポイントにフォーカスしながら確認していくことで、「もう探し尽くした」と思われるムダを見つけ出し、新たなカイゼン点を見出すことができるでしょう。
森琢也
株式会社クック・ビジネスラボ代表取締役。中小企業診断士。2007年明治大学商学部卒後、トヨタグループの大手自動車部品会社(デンソー)に入社。約10年の勤務後、リクルートマネジメントソリューションズに転職し、研修講師の採用・育成を担当し、2020年に独立