世界遺産の島「屋久島」の登山道を進むFNN取材班が目指したのは推定樹齢3000年の屋久杉。その道のりで目にした“台風の爪痕”と目の前に現れた見る影もない異様な光景。人気の登山ルートが閉鎖されてから1カ月あまり、今回、FNNは特別な許可を得て閉鎖中の登山道を独自取材すると、深刻な被害の実態が明らかになった。
人気の「弥生杉コース」は現在も閉鎖中
世界自然遺産に登録されている鹿児島県の屋久島。
この記事の画像(29枚)島内には樹齢1000年を超える屋久杉が多数存在するが、なかでも多くの観光客が訪れ人気なのが推定樹齢3000年の「弥生杉」だ。
しかし、2024年8月、台風10号の影響で屋久島は大きな被害に見舞われ、根元から折れてしまった。
観光名所のひとつである白谷雲水峡。
3つある登山コースは、土砂崩れなどの影響で弥生杉を通るコースを含む2つのコースが通ることができず、現在は1番時間のかかるコースをさらに迂回して巡るルートしか歩けない。
受け付けの人は、「弥生杉コースと奉行杉コースが通れない」「高齢者がいけない状況」と話す。
1番手軽に屋久杉を見学できる人気の「弥生杉コース」は現在も閉鎖中だが、特別に許可を得て撮影することができた。
傾斜のある山道を進んでいくと、その先に見えてきたのは、「立入禁止」の規制線が何重にも張られた登山道だ。
看板には「弥生杉」の文字もある。
さらに進んでいくと、遊歩道を塞ぐように倒木がいくつも見られる。
そして奥に弥生杉と書かれた看板があるが、弥生杉は見る影もない。
推定樹齢3000年の弥生杉は高さは26メートル、太さは7.6メートルともなる巨木が、今は地面に太くはった根しか残されていない。
「だいぶツアー客は減ると思います」と危惧する声
屋久島レクリエーションの森・保護管理協議会事務局の日髙美智男さんは、「身近に行けて皆さんに親しまれた、ご年配の方でも容易に行くことができた屋久杉だった。それが倒れたということはもう非常に悲しいし、だいぶツアー客は減ると思います」と危惧する。
国内外から訪れた観光客からは、「見れたら見たかったけど太鼓岩はきれいだったから十分」「台湾から(のツアー客)残念だけど、縄文杉だけが魅力じゃないのでいい機会かな」といった声が聞かれた。
1日も早い復旧が望まれる中、地元は今後、林野庁の屋久島森林管理署を中心とした検討会を設置して、対応を協議するという。
(「イット!」 10月8日放送より)