では、防虫剤はどのような仕組みで、衣類を虫から守るのだろう。
「当社の『ムシューダ』や『ネオパラエース』といった防虫剤は、常温で揮散する薬剤を使用しており、空気中に防虫成分が広がることで虫食いを防いでいます。『ムシューダ 防虫カバー』は、塗布面に接触した衣類を防虫します」
エステーの髙野さんによると、「ムシューダ」の薬剤は液体から気体、「ネオパラエース」の薬剤は固体から気体となる性質があり、この薬剤が空気中に広がることで防虫している。「ムシューダ 防虫カバー」は、揮散しにくく残効性のある薬剤を使い、防虫しているという。

いずれの防虫剤も成虫・幼虫を寄せ付けない、幼虫の食欲を減退させる(最終的に動かなくなる)、卵をふ化させないなどの効果があるとのこと。

使用中は収納空間に揮散し続けている防虫成分が、衣類にも付着するという。一方で、収納空間内の防虫を目的としているため、収納空間から取り出した衣類の防虫効果は自然となくなるという。
また、防除用医薬部外品(殺虫剤)ではないので、防虫効果が切れかけた防虫剤を使用した場合には、虫が復活する可能性もあるとのこと。

そのため、製品の「おとりかえサイン」に「おわり」の文字が出ていないか、見逃さずに取り換えるような注意が必要だ。
防虫剤の数に衣類の量は関係なし!
防虫効果をしっかり発揮するためのポイントは4つあるという。
(1)パッケージの裏面に記載してある標準使用量を目安に、正しい個数や用途を使用して頂くことが大切です。
(2)引き出しや衣装ケースの場合は、衣類の一番上に防虫剤を置いてください。防虫成分は空気よりも重いので、上から下に流れます。
(3)クローゼットなど吊り下げ収納で複数個使用する場合は、等間隔に置いてください。
(4)クリーニング後にポリ包装のカバーをつけたまま収納していると、通気性が悪くカビの原因になりますので、外して収納してください。キレイに衣類を維持したい場合は、防虫カバーがおすすめです。

防虫剤は密閉された空間の中に、防虫成分を行き渡らせることで、本来の効果を発揮する。そのため、使用数量は「衣類の量」ではなく「収納スペースの大きさ」で決まるとのこと。同じクローゼットなら、1着しか衣類を入れていなくても、20着入れても、同じ数量の防虫剤を入れる必要があるという。