ビタミンDはキノコ類や魚を食べて紫外線に当たると増加する。
ところが、女性はシミやシワ予防のために日焼け止めを塗る人が多く、紫外線に当たる機会が少ない。それがビタミンD不足に繋がってしまう。
「特に日焼け対策をバッチリしている方は、意識して食品からビタミンDを取っていかなければなりません」
鉄分は「赤い肉」と「赤身の魚」で
ここからは、“栄養負債”を返済して“栄養貯金”を増やす方法について触れていく。
まずは鉄分については、レバーなど動物性の肉をしっかり食べてほしいと両氏は言う。
「特に肉の色が赤い牛・羊・馬には豊富に含まれます。また、“赤身の魚”であるマグロ、カツオ、サバ、ブリも鉄分豊富です。特に血合いにたくさん含まれていますよ」
なお、ホウレンソウなどの野菜にも鉄分は入っているが、植物性の鉄分はあまり吸収率が良くないとのこと。
「ちょっと疲れやすい、貧血気味だという人は、お肉を積極的に食べましょう。レバニラにホウレンソウを追加するなどの工夫をしてもいいでしょう」
カルシウムはDとKと一緒に
カルシウムを取るのに一番効率がいいのは牛乳だ。
牛乳のカルシウムの吸収率は40%と、他の食品に比べて高く、1杯の牛乳で、1日で必要とされるカルシウム約800mgの4分の1を取ることができる。
ちなみに、牛乳は朝より夕方に取るほうが12%も体内吸収率がいいそうだ。
次に高いのは小魚の33%。乳糖不耐症で牛乳を飲むことができない人は小魚をたくさん食べるのもおすすめだ。

また、カルシウムを効率よく吸収するには、ビタミンDとKもしっかり取ってほしいという。
「骨にカルシウムを届けるのがビタミンDで、カルシウムから骨を作る役目がビタミンKなのです」
ビタミンDは、キノコ類や魚に含まれる。特にキノコ類はビタミンDを有する貴重な食材だ。そして、ビタミンKは納豆や緑黄色野菜に含まれることを覚えておこう。
食事は“単品”で済ませない
最新の研究では、“栄養貯金”と"栄養負債”に関する新しいエビデンスがどんどん出てきていると両氏は語る。
また、そもそも野菜や果物に含まれる栄養自体が減少しているため、食べていても栄養が取れていない“栄養負債”につながることも近年の課題だ。
だからこそ、子供時代の“栄養貯金”が将来に影響するため、子供のいる家庭は毎日バランスのよい食生活を心がけてほしいという。
「今の日本人の食事は全体的に野菜と果物が不足していて、塩分が多いのが問題です。そこで普段の食事で意識してほしいのは、丼ものやワンプレートなど、“単品”で済ませずに、野菜や果物をプラスしてほしいですね」

監修者:
濱裕宣
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部部長。日常生活で活かせる健康と栄養バランスをモットーに、患者の立場に立った食生活に向上指導にあたる
赤石定典
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部。栄養食事指導によって、病態改善・治療・治癒への貢献を目指す