●食物繊維と難消化性でんぷんの整腸効果<中果皮(果肉)>
果肉には食物繊維やビタミンのほか、大腸まで届いて働く難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)も豊富に含まれています。腸の掃除をしつつ、善玉菌のエサになるため、腸活にはうってつけの食材です。

●全部皮!たんぱく質は中心に約1.5倍<内果皮>
バナナは外果皮・中果皮・内果皮の3層になっています。食べる部分は中果皮と内果皮、つまりすべてが皮なのです。中心の内果皮にある小さな黒い点は種の名残。中心に近づくほどたんぱく質量が増えていきます。

青バナナは整腸作用がある?

バナナは両端が緑色のものから、しっかり熟した茶色っぽいものまで、様々な熟度のものがあります。

バナナは熟度で成分が変わるため、得られる栄養も変わります。もっとも大きな変化があるのは、熟成7日目の、茶色の斑点(シュガースポット)が出たバナナの免疫増強作用です。

マウスを用いた実験で調査したところ、熟成1日目と比較すると100倍にアップしたほど。甘みも強くなるため、熟したバナナを食べるのがお得なのです。

熟度の違いで栄養価が変わる!?(『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』より)
熟度の違いで栄養価が変わる!?(『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』より)

日本で消費されるバナナはほとんどが輸入ですが、輸入直後のバナナは全体が緑色。

そこからエチレンガスによる熟成を経て、黄色いバナナ、茶色っぽいバナナに変化していきます。

バナナは皮の色の変化で、中身の成分がある程度わかるので、欲しい成分のところで食べてください。

熟度が低く緑色が残る青バナナは、レジスタントスターチが豊富で整腸作用が高いのが特徴。ただし黄色、茶色バナナもそれぞれに異なる成長作用を持っています。

比較的甘みの少ない青バナナは、野菜のように火を通すと、ほくほくとして芋類のような感覚で食べることができます。

ホットバナナで整腸作用アップ(『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』より)
ホットバナナで整腸作用アップ(『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』より)

そして、加熱するとフラクトオリゴ糖の効果が高まります。焼き30分で1.8倍、蒸し調理だと10分で2.8倍に。加熱により消化も良くなり胃の負担も軽減できます。皮つきバナナをオーブントースターなどで表面が黒くなるまで加熱し、皮をむいていただきます。

スムージーにバナナを入れる人もいるかと思いますが、抗酸化力の高いベリー類などのスムージーにバナナを加えると、ベリー類のポリフェノールである、フラボノールが84%も激減したという研究結果もあります。

バナナが加わると、抗酸化物質をバナナの酵素が「掃除」してしまい、体内での働きを防ぐ可能性があるのです。胃が弱い人は大量摂取にはご注意を。

『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)

監修者:
濱裕宣

東京慈恵会医科大学附属病院栄養部部長。日常生活で活かせる健康と栄養バランスをモットーに、患者の立場に立った食生活に向上指導にあたる

赤石定典
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部。栄養食事指導によって、病態改善・治療・治癒への貢献を目指す


 

東京慈恵会医科大学附属病院栄養部
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部