大型船も行き交う静岡・清水港でイルカを見たという目撃情報が多発している。調べに行ったところ、清水港生まれの赤ちゃんまでいることがわかった。
目撃確率は5~6割と高い
国内有数のイルカスポットと言えば、太平洋に浮かぶ「小笠原諸島」や熊本県の「天草」が有名だが、いずれも自然豊かな場所。
大型船が行き交う「清水港」にイルカがいるとは、にわかには信じられない。

まず訪ねたのは清水港で遊覧船を運航する「富士山清水港クルーズ」だ。インフォメーションのスタッフにイルカが出るか聞いたところ「間違いない」との答えが。
富士山清水港クルーズ 広報・鈴木佳奈子さん:
ちょうど4年ぐらい前、2020年の初夏に初めて目撃されました。5~6割の確率で見ることができます

なんとうわさは本当のよう。さらにイルカに関する朗報も。
富士山清水港クルーズ 広報・鈴木佳奈子さん:
赤ちゃんが群れの中に誕生しました。清水港生まれの赤ちゃんです
ということで船の上からイルカを捜索。1日4便運航する定期便に乗せてもらうことになった。「富士山清水みなとクルーズ」は大人が1500円、小学生が750円だ。

今回はその姿を確実にとらえるべくメインカメラに加えサブカメラ、360度カメラもスタンバイ。とはいえ、どこに現れるかはイルカ次第。コースは清水港をぐるり1周、時間は40分。
まさかの撮影失敗
広報の鈴木さんはもう何十回も見ていて、タンクが立ち並ぶ辺りが一番多く見かける場所なのだそう。

イルカの目撃情報が多発している場所へはコース後半に近づくが、その間も双眼鏡で探し続ける。みなさん、ずっと見ていると船酔いしやすいのでご注意を!
その後も捜索を続けるが、一向に現れる気配はない。
出航から約30分。とうとう目撃情報が多発しているポイントに近づいてきた。ここで船内アナウンスが。
船内アナウンス:
ただいま船の前方右側、小型船が通っていますが、イルカが確認できました

にむらリポーターも、鈴木さんもイルカを確認。
乗客からも歓声が沸き起こるが、なんとテレビカメラはイルカの撮影に失敗。
360度カメラも遠すぎて確認できず。サブカメラにだけ、イルカらしき背びれが小〜さく映っていた。

過去の映像を見せてもらう
一番恐れていた事態になってしまった、今回のロケ。
以前、富士山清水港クルーズのスタッフが撮影した映像を見せてもらった。

にむらあつとリポーター:
こんな近くで見られるんですか⁈背びれが見えて喜んでいたのが恥ずかしい
2024年4月の映像には明らかに小さな赤ちゃんイルカの姿もはっきりと映っていた。
清水港に住み着いた理由
さらに詳しく調査するため、向かったのは東海大学海洋学部。
駿河湾のクジラ類を専門に研究する大泉宏教授にお話を伺う。
東海大学海洋学部・大泉宏教授:
清水港にはいまイルカが6頭います。清水港にイルカが住み着くのはかなり珍しいことです。住んでるのはミナミハンドウイルカ、あるいはミナミバンドウイルカと呼ばれるイルカです

大泉教授によると、もともと沿岸に住んでいる種類のイルカなので、人の近くにいること自体はそんなに珍しくない。
ただ清水港はかなり開発された場所だ。そういったところに住み着くのは国内では初めて。世界的に見ても例がないのではないかと言うのだ。
東海大学海洋学部・大泉宏教授:
環境的にエサが十分あるとか、休息できる場所があるとか。条件を満たしているから住み着いていると思います。月に1~2回船を出して定期的に調査していますが、3月の下旬頃に赤ちゃんが生まれたと推測しています

今後、群れはずっと清水港にいるのだろうか。それとも去ってしまうのだろうか。
大泉教授は、当初は数カ月でいなくなると思っていたが、子供まで生まれたため、本格的に定住していると言っていい段階ではないかとのこと。

実は、もともとイルカがどこから来たのかもわかっていて、近く学会で発表するそうだ。続報に乞うご期待!
(テレビ静岡)