「森友学園」の公文書改ざん問題をめぐり、財務省は自殺した近畿財務局職員の妻に検察に提出した資料の主要部分の開示を終えました。
これまでに14万ページ以上の資料を受け取った妻が会見で明かしたのは、改ざんの指示が「誰からどのように出されたのか」明らかにならなかった無念さでした。
■近畿財務局職員の赤木俊夫さん 「森友」巡る文書改ざん苦に自殺
近畿財務局の職員だった赤木俊夫さん(当時54歳)は、「森友学園」に対して8億円以上値引きして売却された、国有地の決裁文書の改ざんを強いられ、うつ病を発症して自殺しました。
財務省の調査報告書によると、改ざんの方向性を決定づけたとされる、佐川宣寿元財務省理財局長らが刑事告発され、大阪地検は2018年にいずれも不起訴としました。
これについて検察審査会が「改ざんは言語道断」などとして、佐川氏ら10人の不起訴は不当だと議決。
大阪地検は再捜査しましたが、2019年に10人全員を再び嫌疑不十分で不起訴としました。
■赤木さんの妻・雅子さん「真相知りたい」と裁判を起こし高裁で逆転勝訴
改ざんの真相を知りたいと、妻の雅子さんは、財務省と近畿財務局に対し、検察に任意で提出したとみられる書類の開示を求めましたが、「不開示決定」が出され、2020年に裁判を起こしました。
1審の大阪地裁(徳地淳裁判長)は、「捜査に支障がある」として文書があるかないかを明かさないまま不開示とした国側の主張を認め、雅子さんの訴えを退けました。
しかし、大阪高裁(牧賢二裁判長)は判決で、「事件は不起訴処分がなされ、捜査は終結しているため、支障を及ぼす恐れがあるとはいえない」などとして不開示決定を違法とし、国に取り消しを命じました。
■14万ページ超開示も佐川局長のメールは「2カ月で自動で消える仕組み」残されず
この敗訴を受けて財務省は、去年から赤木さんの妻の雅子さんに資料と電子データを順次、開示し、ことし4月に主要な文書の開示が終わりました。
開示されたのはおよそ14万6000ページで、赤木さんが業務の内容などをメモした自筆のノートや関連職員のメールのやり取りなどでした。
財務省は調査報告書で、当時の佐川宣寿理財局長が「改ざんの方向性を決定づけた」と結論付けました。
しかし雅子さんの開示請求に対して財務省は、職員のメールはサーバーの容量から2カ月で自動で消える仕組みで、佐川氏のメールは残っておらず、保管もされていなかったと説明。
雅子さんは開示された膨大な資料を読み込んでも改ざんの指示が誰から始まったのかは明らかにならなかったといいます。
■赤木雅子さん「一番知りたいところは出てこない」
【赤木雅子さん】「なぜ改ざんすることになったのか、国有地の売却がどういう経緯で行われたのか。
私の知りたいことは、たくさんの段ボールいっぱいの資料が開示されても、たくさん分かることもあったんですけど、一番知りたいところは出てこないんだなって。すごい疲れ切っています。
私が一人で戦ってもびくともしないような組織だなって感じますけど、その組織を作っているのは一人一人の人間なので。
誰か一人くらいは本当の真実を私に伝えてくれるのではないかと、期待はしています。今は無理でも…」
■代理人弁護士「改ざん止めようとしたのは赤木さんだけだったとわかった」
代理人の生越照幸弁護士はこう総括をしました。
【生越照幸弁護士】「改ざんを止めようとしてしたのは赤木さんだけだったということがわかりました。
赤木さん以外に改ざんを止めようとした人の痕跡は文書に一切残っていないのが今回の結論かなって思います」
また生越弁護士は、佐川元局長らを不起訴とした検察の捜査について、「本気ではなかった」と批判しました。
【生越照幸弁護士】「検察も本気じゃなかったし、財務省も本気じゃなかったと思う。
こんなもので立件できるわけない。当時の捜査の対応が出来レースだったんじゃないですか。幹部のハードディスクぐらいは押さえていると思ってた。
(佐川元理財局長の)メールは60日で消えたり、メールをする文化がないと言ったり、本気で捜査をするなら、そういうものを押さえにいってるはず」
片山さつき財務大臣は主要な文書の開示が終わった4月に、「決裁文書の改ざん等に関し、財務省の調査報告書を覆すような内容は確認されていない」とコメントしています。
一方で財務省は、去年12月時点で、近畿財務局の別の職員が森友学園に関して記した手書きのノート3冊を開示予定と説明していたにも関わらず開示を取り止めました。
【雅子さん】「夫は苦しんで苦しんで、最後命を落としてしまったのを見ていたので。負けるわけにはいかないし、あの時、夫を救えなかったので、財務省にこんなことされてもへこたれない。まだまだやれることをやります」
雅子さんはノートの開示を求めて近く提訴をするということです。
■安倍昭恵さんに「何だったのか話をしてほしい」
そして、森友学園が問題の土地で開校予定だった小学校の名誉校長に一時就任していた、安倍元総理の妻・安倍昭恵さんについてこうも語りました。
【雅子さん】「安倍昭恵さんが本当は、何だったのか話をしてほしい。墓参りや線香をあげたいと、2回くらい(安倍昭恵さんから)直接言われたので、実現して頂けたらと思います」