進まない九州新幹線・長崎ルート「新鳥栖-武雄温泉」間の整備方式やルートをめぐる佐賀県と国の協議。山口知事は国に対し非公開での開催を呼びかける考えを示した。膠着状態の打開につながるのか注目される。

国との協議進まず膠着状態

九州新幹線・長崎ルート「新鳥栖-武雄温泉」間をめぐっては、整備方式やルートで国と県の主張が食い違い、協議は進まず膠着状態が続いている。

この記事の画像(8枚)

事務レベル担当者が話し合ういわゆる国と県の“幅広い協議”は2023年2月以来、開かれていない。

事態打開へ“非公開”協議を提案

こうした中、2024年6月21日に開かれた佐賀県の6月定例県議会一般質問では、この “幅広い協議”について議論が交わされた。

佐賀県議会(2024年6月21日)
佐賀県議会(2024年6月21日)

この中で、「事態打開のため一部非公開としてはどうか」という議員からの提案を受け、山口知事は「一部非公開での協議」を国に提案する考えを示した。報道陣に対し、山口知事は次のように語った。

山口知事(2024年6月21日)
山口知事(2024年6月21日)

佐賀県・山口祥義知事:
クローズドでやった方が意見交換できるんじゃないかという話があったので、それであれば1回やってみたらと思った次第です。

与党検討委は地元ヒアリングへ

これに先立ち、九州新幹線・長崎ルートの整備方針を議論する与党検討委員会(6月19日)は、今後、佐賀県や長崎県、沿線の自治体などからそれぞれ意見を聞き、議論を加速する方針を決めた。

与党検討委員会の森山裕委員長(2024年6月19日)
与党検討委員会の森山裕委員長(2024年6月19日)

与党検討委員会の森山裕委員長は、「佐賀県・長崎県・JR・沿線自治体からヒアリングを行うことが大事なことではないかということになり、関係者間の議論を推進したいと考えている」と述べ、7月下旬までに2回に分けてヒアリングを行う考えを示した。

対象は、佐賀県・長崎県・JR九州のほか沿線の複数の市町で、整備方針の考えなどについてそれぞれのトップから意見を聞く想定だ。

トップ3者の意見交換も進展なし

佐賀県は、在来線の利便性低下や多額の費用負担を理由に、国・JR九州・長崎が主張するフル規格での佐賀駅ルートに反対し、佐賀空港周辺を通る南回りルートも検討するよう求めている。

トップ3者の意見交換に臨む長崎県知事(2024年5月13日)
トップ3者の意見交換に臨む長崎県知事(2024年5月13日)

山口知事は、「新たな地元合意」を提案し、2024年5月13日に佐賀・長崎・JR九州の3者のトップが意見交換したが、大きな進展はなかった。

JR九州「国を入れた協議を」

後日(2024年5月24日)、JR九州の古宮社長は費用負担などについて、“国を入れた協議”をするべきとの考えを改めて示した。

JR九州・古宮洋二社長:
佐賀県全部負担。これは当然きつい。そういう法律を変えるのか何なのかわからないが、負担のルールについては、私も一緒になって、長崎県も一緒になって国に要望に行きましょうと、ルートの議論をするには建設費とか大きく変わってくるので、あくまでも国の事業なので国を入れないとできないんじゃないですかと。

またJR九州の古宮社長は2024年6月27日の会見で、与党検討委員会からのヒアリングがあれば、「佐賀駅ルートが一番良い」ことを主張したいと述べた。

九州新幹線・長崎ルート「新鳥栖-武雄温泉」間の整備方式やルートをめぐり、佐賀県と国の事務レベル担当者による“幅広い協議”の非公開での開催を提案した佐賀県の山口知事。
佐賀県や長崎県、沿線の自治体などへの与党検討委員会のヒアリングも含め、膠着状態打開のきっかけになるのかどうか注目されている。

(サガテレビ)

サガテレビ
サガテレビ

佐賀の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。