今後の県立高校のあり方を考える有識者会議が新潟市で開かれ、農業や工業など複数の専門高校を統合した“産業高校”を設置する骨子案が了承された。少子化が進む中、県立高校の統廃合は待ったなしの状況となっている。
進む少子化…高校は「危機的な状況」
2024年4月に発表された人口統計によると、新潟県内の中学校の卒業者数は2024年春に1万8000人以上いたが、10年後には約4400人減少する試算となった。

このまま県立高校の統合を行わず、学級を減らすことで対応した場合、10年後の募集学級の平均は2.6学級になると見込まれている。
県教育委員会小川正樹教育次長は「県教育委員会としては、高校教育の維持・向上を図っていく上で、危機的な状況であることを認識している」とその危機感について口にした。
専門高校統合した“産業高校”設置
6月17日に開かれた有識者会議では、県が県立高校の将来構想を提示。この中で示されたのが、“産業高校”の設置だ。
産業高校は農業・工業・商業・家庭・水産といった複数の専門学科を持つ高校を統合したもので、生徒は自分の専門科目以外も学ぶことができるとしている。

千葉大学教育学部の貞廣斎子教授は「既存の教科課程にはないようなオーバーラップするようなカリキュラムをどのように新潟県モデルとしてつくっていけるかというところが重要」と話す。
一方で、新潟経済同友会教育問題委員会の坂爪豪副委員長は「高校のときにしっかりと自分のやりたいこと、やるべき道に進める指導を羅針盤ではないが、やってあげる、やれる学校がいい」と意見した。
将来構想はこのほか、従来の定時制・通信制の垣根を越えた「セルフデザインハイスクール」の設置を掲げている。
将来構想は2025年3月策定へ
また、学校の規模や配置については、県内6つのエリアに1学年4学級以上の普通科高校を1校以上置くことなどを想定。
地理的な条件などから、あえて存続させる小規模校もあり得るとしている。

17日の会議で了承された骨子案をもとに今後、県が素案をつくって検討を重ね、2025年3月には将来構想として策定される予定だ。
少子化によって教育を取り巻く環境も大きく変わってきている中、教育の質を守るための取り組みは急務となっている。
(NST新潟総合テレビ)