これまでの残暑が嘘のように、急に空気がひんやりと感じられるようになったきょうこの頃。「なんだか体が重い」「朝すっきり起きられない」といった原因不明の不調に悩まされてはいないだろうか。その症状は「秋バテ」かもしれない。

その症状「秋バテ」かも
その症状「秋バテ」かも
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「鼻水がずるずる…」体が悲鳴

季節外れの30℃近い暑さから一転、福岡県内では11月中旬並みの寒さが観測される日も出てきた。まるでジェットコースターのような気温の変化に、私たちの体は悲鳴を上げているようだ。

気温の急変に体が悲鳴
気温の急変に体が悲鳴

福岡の街で話を聞いてみると多くの人が体調の異変を口にした。「急に寒くなったり暑くなったりするので、鼻水がずるずる出たりけっこう気になるところはある」(30代男性)。ほかにも「最近の寒さで、朝なかなか起きられなくなりました」(30代女性)、「先週から急に寒くなって、それでちょっと疲れがガクッときた感じです」(60代男性)など不調を訴える声が相次いだ。

街頭で聞くと
街頭で聞くと

専門医が語る「秋バテ」の正体

こうした症状の正体は、一体何なのだろうか。福岡市博多区の「ひろつ内科クリニック」の廣津こう平院長は、この時期特有の体調不良を「秋バテ」と呼んで警鐘を鳴らす。「この季節の変わり目の激しい寒暖差や気圧の変化によって引き起こされる自律神経の乱れ、これを通称『秋バテ』と呼んで患者さんには説明しています」(廣津院長)。

ひろつ内科クリニック 廣津こう平院長
ひろつ内科クリニック 廣津こう平院長

廣津院長によると10月に入ってから原因不明の体調不良を訴える患者が明らかに増えているという。「倦怠感が続いたり、食欲不振に陥ったり。検査をしてもはっきりした原因がわからない体調不良を抱えた方が多く来院されます。睡眠障害やめまいといった症状の方を含めれば、1日に平均2〜3人はいらっしゃいますね」(廣津院長)。

夏の体は「放熱モード」
夏の体は「放熱モード」

「放熱モード」から切り替えうまくいかず

夏バテはよく聞くが、廣津院長は「秋バテ」のメカニズムをこう解説する。「夏の間、私たちの体は熱を外に逃がす『放熱モード』になっています。冷たいものを食べたりクーラーを浴びたりと体を冷やすことに順応しているわけです。そこへ急に寒さがやってくると、今度は体に熱を溜め込むモードへ切り替えなければならない。この体温調節や気圧への対応に体が追いつかず、自律神経がバランスを崩してしまうのです」。夏の疲れが残る体に、急激な環境変化が追い打ちをかける。これが「秋バテ」の正体なのだ。

急激な環境変化についていけず「秋バテ」に
急激な環境変化についていけず「秋バテ」に

きょうからできるシンプル対策

このつらい秋バテを乗り切るためにはどうすればいいのだろうか。廣津院長が挙げる対策は意外とシンプルだ。

1つは体をしっかり温めることが基本だ。旬の野菜やきのこをたっぷり使った温かい鍋料理は、体を中から温めるだけでなく、栄養バランスを整える上でも理想的。

鍋料理で体を温める
鍋料理で体を温める

また、夜はシャワーで済ませずぬるめのお湯にゆっくり浸かる半身浴がおすすめだ。血行を促進し心身ともにリラックスする時間を作ることが体調を整える助けとなる。

半身浴でリラックス
半身浴でリラックス

もう1つ重要なのが「規則正しい生活」だ。廣津院長は1日のリズムを作ることの重要性を強調する。「日中のリズムをきちんと整えることが何より大切です。決まった時間に夜ご飯を食べ、朝はしっかり起きる。そして、決まった時間に朝ごはんを食べ、太陽の光を浴びる。この基本的な1日のリズムを作り、自律神経のバランスは整えることが大事。これから本格的に寒くなっていく冬に備えていくことが大切です」。

日中のリズムをきちんと整える
日中のリズムをきちんと整える

季節の変わり目に感じる不調を温かい食事と規則正しい生活を少し意識するだけで、心も体も軽くなるはずだ。本格的な冬が到来する前に「秋バテ」を乗り越え、健やかな毎日を送りたい。

秋バテ対策には
秋バテ対策には

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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