“稼ぐ神社”になるため、長い歴史と伝統を持つ北九州市の神社が「葬儀事業」を展開している。背景にあるのは「資金難」の問題だ。「未来に神社を残すため」、葬儀事業のノウハウを全国の他の神社にも提供しているという。

“稼ぐ神社”へ…葬儀事業も展開

北九州市門司区の九州最北端にある創建1800年の「和布刈(めかり)神社」。

市民からの崇敬を集める「和布刈神社」
市民からの崇敬を集める「和布刈神社」
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毎年、旧暦の元日の早朝に関門海峡でワカメの新芽を刈り取って神前に供え、航海の安全や豊漁を願う伝統行事「和布刈神事(1958年に福岡県指定無形民俗文化財に認定)」が行われている。海峡の守護神として、市民からは崇敬を集めている神社だ。

この和布刈神社では、新たに「葬儀事業」が始まっていて、敷地内には葬儀会館が建設されている。神道式の葬儀「神前葬」が可能で、告別式を行うことができる。また、2020年からは終活相談にも応じているという。

神社で葬儀を行うのは珍しいことだが、その背景には「資金難」の問題がある。多くの神社は収入をさい銭などに依存していて、そのため人口減少に伴い廃業する神社が後を絶たないのが現状だ。

こうした中で“稼ぐ神社”になるため、和布刈神社は葬儀事業をスタートさせた。告別式だけではなく、火葬後に関門海峡の沖合で遺骨をまいて供養する「海洋散骨」も行っている。

神社による葬儀事業のノウハウを全国の他の神社にも提供し、フランチャイズ展開による収益拡大も目指しているという。

和布刈神社の高瀬和信禰宜(ねぎ)は、「全国の地方にある神社さんが一丸となって、未来に神社を残すために取り組んでいきたいと思います」と意気込みを語る。

和布刈神社による葬儀事業は、すでに全国5つの神社で契約が進められていて、2031年までに35社との契約を目標としている。

(テレビ西日本)

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