安倍さんが枝野さんを”大好き”だって?
”大嫌い”の間違いだろ、と思った人もいるだろう。
いいえ、本当に安倍さんは枝野さんのことが大好きだ。
応援もしているほど。

何故だろうか。
 

枝野氏はケンカ腰、安倍首相はニコニコ

20日(月)の特別国会・代表質問。
立憲民主党代表の枝野さんは民進党時代よりもはるかに厳しく安倍首相を攻めたてた。
「今の憲法を守ってから言え!」と、ほとんどケンカ腰だったが、それを聞いていた安倍首相は特に怒っている風でもなく答弁も穏やかだった。

実は立憲民主党はウイングを狭くして攻撃的になればなるほど政党支持率が上がる。だから枝野さんは攻撃的なのだ。
 

立憲民主が調子良いと自民も喜ぶ不思議な事情

立憲民主が調子いい方が自民にとってはありがたいという不思議な事情がある。
選挙前に、初めて立憲民主党の支持率がぐっと上がった時、たまたまその日の早朝に政権幹部と朝ご飯を食べていたら、その幹部は興奮して「立憲民主の支持率が上がったぞ!」と嬉しそうだった。

そのココロは、立憲民主党が強いと野党の票が割れて小選挙区で自民が漁夫の利で圧勝するという事なのだが、結局その通りになった。
 

 
 
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政権を脅かす存在になりえない野党

選挙後も、立憲民主党は希望の党や民進党とは国会対策で距離を置いており、連携はうまくいってない。さらに野党第一党の人数が半減し、政策が左寄りになれば与党にとってはラクだ。

何より野党が分裂していれば、小選挙区制度では政権を取れる規模には絶対になれない。これ以上の伸びしろはないと自民は見ている。

つまり政権を脅かす存在にはなりえないということだ。

安倍さんにとっては枝野さんが一生懸命頑張ってくれた方が助かる。
自民党政権は永遠に続く訳だから。

逆にいえば、枝野さんは言いたいことだけ言って気持ちよくなっているだけではダメだ。
民進党再結集も、有権者は許してくれない。

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。