高齢者の孤立を防ぐ活動が山形・新庄市でスタートした。薬局を拠点として高齢者の異変をいち早くキャッチし、地域で「見守り」を行う県内初の取り組みだ。この活動の生みの親である薬局の社長は「笑顔で暮らせる地域にしていきたい」と話す。
薬局で始まった「見守り活動」
新庄市の薬局・メディカほし薬局。毎週木曜日、待合スペースは近所のお年寄りたちの健康体操の会場に変わる。

初めて参加した女性にスタッフが「どうでした?体操してみて」と声を掛けたところ、「いい運動になりました」と笑顔で答えた。

薬局で始まった高齢者の「見守り活動」。
「“誰か”の声掛けがあったら、孤立や認知症を改善できるのに、手が届かないシーンがたくさんある」との歯がゆい思いを持っていた、メディカほし薬局の社長で薬剤師の星利佳さんが生みの親だ。

メディカほし薬局 社長・星利佳さん:
患者さんから「あそこの家、一人暮らしでずっとカーテン閉まっている」と教えてもらっても、私たちが勝手に行くわけにいかない。市役所に連絡しても「行政の支援にはうまくはまりませんでした」と返事を受けたのがきっかけ
地域全体で支え合う上での課題も
見守り活動「みま~も」は、2008年、東京で産声を上げた。4月、新庄市に設立された「みま~も・もがみ」は、全国13カ所目になる。

この日は、地域全体で支え合う上での課題を話し合った。
活動に賛同する新庄市民:ストーブに灯油を入れられず、部屋の温度が4度だったとか…。そういうことができない人たちがけっこういる
作業療法士:外部との関わりを、自分からシャットアウトしてしまう人もいる
メディカほし薬局 社長・星利佳さん:そういう人も多いよね、きっと
移送サービス業:地域貢献のための活動なので、協力する

メディカほし薬局 社長・星利佳さん:
「みま~も」って、何だか良くわからないのに来てくださり、本当にありがたかった。できることから少しずつやっていきたい
「笑顔で暮らせる地域にしたい」
「だれでもらうんじ」と名付けた薬局の待合スペースで、まずは活動をスタート。
誰でも自由に入ることができ、スタッフは体操教室などを通して、体調や心の異変を感じ取る。
メディカほし薬局 社長・星利佳さん:
病気して困っている方などの、ちょっとした困りごとを包括支援センター・社会福祉協議会・警察・消防などと連携して、適切なところにつなげて行きたい

薬局の中には、病気や栄養について学べる本を置く「おしゃべりとしょしつ」や、人工肛門の利用者・オストメイト用の「だれでもといれ」も整備した。

メディカほし薬局 社長・星利佳さん:
ここは人と人とが出会う場所。人と人がつながって、笑顔で暮らせる地域にしていきたい
新庄の薬局で始まった新たな取り組み。誰もが安心して年を重ね、暮らしていくための支え合いの輪が広がっている。
(さくらんぼテレビ)