静岡県の川勝平太 知事の辞職に伴う県知事選挙が5月9日に告示され、県政史上最多となる6人が立候補した。このうち共産党県委員会の委員長・森大介 候補が第一声で何を話したのか、全文を掲載する。
過去最多の6人が立候補
5月26日に投開票が行われる静岡県知事選に立候補したのは、届け出順に政治団体代表の横山正文 候補(56)、共産党県委員会の委員長・森大介 候補(55)=共産党公認、元衆議院議員で浜松市長を4期務めた鈴木康友 候補(66)=立憲民主党・国民民主党推薦、元総務官僚で県の副知事を務めた大村慎一 候補(60)=自民党推薦、自営業の村上猛 候補(73)、会社役員の濵中都己 候補(62)の6人だ。
この記事の画像(2枚)このうち森候補は9日午前9時半から静岡市駿河区で出陣式を行った。
森候補の第一声全文は以下の通りだ。
リニア新幹線建設と原発再稼働に反対
いよいよ県知事選挙が始まりました。私、日本共産党の森大介はリニアと原発を許さず、県民の暮らし・福祉最優先、希望の持てる県政へと、県政を大きくチェンジしてまいります。
リニア中央新幹線の建設は南アルプスの貴重な自然を壊すだけでなく、工事によりまして大井川の水量が大きく減り、その流域8市2町の62万人の方の命と暮らしが脅かされます。
また、コロナ禍を経まして、オンライン会議、リモート化が進む中で、大都市の間をリニアのような高速で移動する、その必要性そのものが失われているのではないでしょうか。
それだけではありません。あのリニアの新幹線を動かそうとすれば、東海道新幹線の4倍もの電力が必要になります。これは世界の脱炭素の流れに逆行するものであります。
必要性が損なわれ、水と環境を破壊する問題山積のリニア建設は中止すべきであります。
浜岡原発については皆さんもご承知のように南海トラフの巨大地震の震源域の真上に立つ世界一危険な原発であります。あの福島第一原発の事故を教訓とするのであれば、浜岡原発は再稼働することなく廃炉にすべきであります。
能登半島地震におきましては、志賀原発で深刻なトラブルが続出し、あわやという事態になりました。原発からの避難路、11ありますけれども、そのうち7つが土砂崩れなどで使えなくなり、屋外退避と言いましたけれども家屋が倒壊して避難ができない、避難計画そのものが成り立たないということがはっきりしたのではないでしょうか。
安全な原発はありません。原発事故が起きてから、想定外というのは絶対に通用致しません。リニアと原発、これらを国が決めたことだから、もう決まっている、このような形で思考停止になることなく県民の命と暮らしを守る立場で国と大企業に対してしっかりと物を言い、行動する知事に私はなります。
税の使い道は県民の暮らし・福祉最優先
皆さん、私は県民の暮らしと福祉、この問題でも県民最優先を貫いてまいります。
お話がありましたように静岡県の財政力は全国7位であります。しかし、県民1人あたりに使われる社会福祉費、民生費は全国最下位の47位、児童福祉費は45位、教育費は38位で、全国軒並み最低水準であります。県民に冷たい県政になっているわけであります。
私はこの税金の使い方を県民の暮らし・福祉最優先に切り替えて、子育て支援で3つの手の、これを実現してまいります。
第一は18歳以下のお子さんの医療費完全無料化です。
2つ目は小中学校の学校給食費の無償化。
そして3つ目は国民健康保険料の子供の均等割りの無料化であります。
子育て中のお父さんやお母さんが切に願っております学校給食の無償化は150億円あれば実現をすることができます。県と市町で折半をすれば75億円です。建設費370億円の浜松の野球場建設は止めて、子育て支援にお金を思い切って使おうではありませんか。
高齢者の方には、補聴器を購入する助成制度、現在、県内で10市3町がすでに実施をしておりますけれども、県も助成をいたしまして、これを県内に一気に広げたいと思います。
さらに介護保険料の負担軽減。この2つの安心を高齢者の方にはお約束したいと思います。
最低賃金の向上に力を尽くすと約束
皆さん、人口の流出、とりわけ若い方の東京圏への流出がいま問われております。私はこれを克服するためには若者が地域で働ける場所があること、そして、働きに見合った収入が得られる静岡県、こういう風にすることが大事だと考えております。
静岡県の時給、最低賃金は時給984円であります。手取りで月収十数万円、これではまともな暮らしはできないし、貯金もできません。
東京に近いお隣の神奈川県は時給1128円、年収に換算いたしますと30万円近くも差がつきます。
私は国に対して全国一律1500円以上の最低賃金の実現を求めると共に、県知事といたしましては県の最賃を決定する地方最賃審議会、ここに県の最賃を引き上げようということを発言し、物言う知事になります。
また県の公契約条例、これを改正いたしまして、医療・介護・保育、こうした皆さんの確かな賃金を保障できるように頑張ってまいります。
また、雇用確保の問題におきましては、地域で根を張って頑張っておられます中小・小規模事業者の皆さんにきめ細やかな補助を行うことによりまして働き口を確保し、安心して営業を続けられるようにしていきたいと思います。
さらに県としてエネルギーと農業の地産地消、これを積極的に推進しまして、魅力ある雇用を生み出してまいりたいと思います。
県民の暮らし・福祉最優先、そしてリニアよりも環境と水、浜岡原発再稼働ノーを掲げる唯一の候補、県民の皆さんの願いに応える私、森大介を是非ともよろしくお願いします。
(テレビ静岡)