サッカーJ2・モンテディオ山形は、4月13日(土)、アウェイでベガルタ仙台との「みちのくダービー」に臨む。今シーズン、仙台から完全移籍で加入した氣田亮真選手に話を聞きながら、ダービーに向け、士気を高めていきたい。

待望の移籍後、初のゴール

氣田選手は千葉県出身、現在26歳のミッドフィルダー。専修大学を卒業後、J2長崎に入団した。

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2021年に、当時J1の仙台に加入し、昨シーズンまで3シーズンプレー。今シーズン、山形に完全移籍し、背番号「10」を託された。そして、今シーズンの新加入選手でたった1人、開幕でスタメン入りし、これまで左ウイングやトップ下で全試合に出場している。

得意のドリブルから何度もチャンスを作り、第7節の清水戦で待望の移籍後、初ゴールを決めた。このゴールは、まさに氣田選手らしさが出た一発だった。

氣田亮真​選手:
自分らしく、相手の逆をとって冷静にシュートを打てた、いいゴールだと思います。ホームの初ゴールだったのですごくうれしかったです

この氣田選手のゴールが、今シーズンのホーム初勝利につながった。
現在の山形の成績は、4勝1分4敗の勝ち点13で11位。この順位についてはどう捉えているのだろうか。

氣田亮真​選手:
最初はいいスタートを切れたんですけど、そこからちょっと難しい時期もあった。今はチームの調子もいいと思うので、いい状態で、次の試合に向けていい準備ができていると思います

自身のチームへの“フィット感”は「悪くない」と感じているようだ。

氣田亮真​選手:
最初はチームの戦術や試合の状況を見て、効果的にプレーをしようと意識していた。ここからさらに自分のよさを出していければなと思います

35年前から続く「みちのくダービー」

氣田選手にとっては“古巣対決”になる仙台との一戦、13日(土)に迫った「みちのくダービー」の歴史は古い。

今から35年前、Jリーグ開幕の4年前の1989年に、東北社会人サッカーリーグチャレンジマッチで、山形の前身・NEC山形サッカー部と、仙台の前身・東北電力サッカー部が戦ったのが始まりとされている。

その後の1999年に始まったJ2リーグに山形・仙台が参入し、開幕戦で戦った。氣田選手が2歳の時のことだ。これがJリーグでの山形・仙台の初対戦。結果は、3対2で山形が勝利した。
JリーグではJ1とJ2合わせて41回対戦し、山形8勝、仙台18勝、引き分けが15、仙台が山形に倍 以上勝っている。この結果には氣田選手も「こんなに仙台が勝っているとは知らなかった」と驚く。

最近の対戦は、仙台がJ2に降格した2022年に7年ぶりにダービーが復活し、その後、昨シーズンにかけ3試合、山形は仙台に勝てなかった。なぜなら仙台には、山形にとって厄介な選手…当時、ベガルタゴールドに身を包んでいた氣田選手がいたからだ。

2022年は、山形ホームのダービーで先制ゴール、そして、昨シーズンは仙台ホームのダービーで先制ゴールを奪った。まさに「ダービー男」だ。

氣田亮真​選手:
あまり意識はしていなかったですけど、そう言ってもらうこともあるので、今年も決められるように頑張りたい

当時、仙台の選手としてダービーでゴールを決めたことは、氣田選手の中でもとても記憶に残っているという。「すごくうれしかったし、特に1点目は自分らしいゴールだった」と振り返る。

氣田選手のゴールもあり、ダービーでは悔しい思いをすることが多かった山形だが、一番直近の昨シーズンのホームでは、藤本佳希選手が4ゴールを挙げ快勝。これがリーグ戦では13年ぶりの仙台からの勝利だった。仙台時代の氣田選手は、この4対1の敗戦をどのように感じていたのだろうか。

試合後のチームの雰囲気については「いや~、よく覚えてないですけど…(笑)」とにごされてしまいました(笑)
試合後のチームの雰囲気については「いや~、よく覚えてないですけど…(笑)」とにごされてしまいました(笑)

氣田亮真​選手:
すごく覚えていますし、1人の選手に4ゴールを決められたので、本当に悔しい思いをしました

仙台から山形への「禁断の移籍」

「みちのくダービー」は山形と仙台、互いにとって“特別な戦い”であることがわかった。
だからこそ、最大のライバル・仙台から山形への移籍は「禁断の移籍」とも言われてきたのも事実だ。山形への移籍は、氣田選手のサッカー人生の中で重大なポイントと言えるかもしれない。山形への移籍についての思いを聞かせてもらった。

「禁断の移籍」…思いは
「禁断の移籍」…思いは

氣田亮真​選手:
仙台に3年間いて、もう一度環境を変えて、初心の気持ちで頑張りたいという思いがあった。それに、山形のサッカーに魅力も感じていたので、自分の成長を考えての決断でした

2024年1月に行われたキックオフイベントでは、ダービーに対する氣田選手の言葉がとても印象深かった。サポーターの笑いも誘っておきながら、周りをひきつける言葉に会場からは拍手が起こった。

氣田亮真​選手(2024年1月 キックオフイベント):
山形とは何度か対戦しゴールを決めたが、今度は山形のために決めてチームの勝利に貢献したい。仙台サポーターから大ブーイングを受けると思うが、それをエネルギーに変えられると思うし、大ブーイングをかき消すくらいの素晴らしい応援をしていただけたら、素晴らしいプレーでお返ししたい

事前に考えた言葉ではなく、「自然と出た自分の正直な思い」を話したという氣田選手。この言葉の通り、山形の勝利を実現してほしい。

ダービーに向け選手・監督の意気込み​

そして10日、チームはみちのくダービーに向けての練習を公開した。他チームとの対戦前の練習と、みちのくダービー前とでは、雰囲気は違うのだろうか?

氣田亮真​選手:
そこまで大きく変わらないと思いますけど。みんな、1人ひとりがダービーに向けて気合が入っているかな…というのはあると思います

マスコミも多く、まさに注目の一戦となっている。
練習後、氣田選手と同じく、仙台から移籍したミッドフィルダー・加藤千尋選手、そして、6シーズン仙台を指揮していた渡邉晋監督にダービーへの意気込みを聞いた。

MF17・加藤千尋選手:
ブーイングを言われる覚悟の上で山形に移籍してきたので、言われて当然だろうし、それをエネルギーに変えて試合で結果を出したい。ここから順位を上げていくには、ダービーは本当に大事な一戦になると思うので、チーム一丸となって絶対勝ちに行きたいと思います

渡邉晋監督:
これまでの歴史とかを考えると、負けるわけにはいかない相手と十二分に認識している。チャンスの数は我々がアクションを起こしさえすれば、作っていけると思っています。焦れずに我慢強く攻撃し続ける、そういうものが必要になってくると思います

この2人の言葉を聞いて、氣田選手は「監督は冷静かな…と。千尋は僕と同じように気合が入っていると思う」と話す。

サポーターたちの熱い気持ち

みちのくダービーは、応援する側にとっても負けられない特別な戦いだ。山形・仙台のサポーターにも話を聞いた。

山形サポーター(川西町から):
倒して当たり前の存在。仙台を倒さずに昇格はありえないと思う。絶対に勝って昇格したい

山形サポーター(寒河江市から):
去年、仙台にユアスタで負けてから山形は5勝している。まずは勝って、一気に仙台を抜き、優勝まで駆け上がってほしい

山形サポーター(山形・白鷹町から):
私たちサポーターを沸かせてくれるような熱いプレーに期待しています。氣田ちゃん、がんばれ~!

一方、「山形に負けると、1週間くらい立ち直れないくらいのいいライバル」と話す仙台サポーターからは「絶対負けない!」という熱い声とともに、氣田選手を応援する声も聞こえた。

仙台サポーターの女性:
自分の高みを目指して移籍した氣田くんを応援しつつ、絶対に負けません!

仙台サポーターの男の子:
氣田亮真選手、山形でも元気で強くなっていってね

仙台サポーターからのエールに氣田選手も「ありがたい、本当に。今でも応援し続けてくれているのは、ありがたいです」とうれしさをかみしめた。

今後の戦いは…

現在の順位を見ても、今シーズンのダービーは負けられない戦いとなる。
山形は4勝1分4敗の勝ち点13、11位。そして、仙台は3勝5分1敗の勝ち点14で8位。
山形との勝ち点差は「1」。山形が次のダービーに勝つと、一気に6位以内が見えてくるという状況だ。

仙台は開幕から“7試合負けなし”で、ここまで1敗しかしていない。今シーズンの仙台について、氣田選手は「仙台には、素晴らしく高いポテンシャルを持った選手がたくさんいる。今年はそこにチーム力が加わり、いいスタートを切れているのかな」と印象を語る。

守備が堅い仙台、失点数はリーグ最少だ。「とにかく自分たちの攻撃力でそこを突破して、ゴールを狙い続けたい」と意気込む。

氣田選手のゴールで勝利を挙げられれば、仙台に与えるインパクトは相当なものがありそうだ。
最後にみちのくダービーへの意気込み・サポーターへのメッセージを聞いた。

「とにかく自分が決めたい」と気合十分だ
「とにかく自分が決めたい」と気合十分だ

氣田亮真​選手:
次の試合、とても大事なゲームになると思います。アウェイですけど、たくさんの方に応援に来ていただけると、僕たちも力強いです。ぜひ一緒に戦ってください。よろしくお願いします

非常に楽しみな今シーズン最初のみちのくダービーは4月13日(土)、アウェイ・ユアテックスタジアム仙台で午後2時にキックオフだ。

(さくらんぼテレビ)

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