国の史跡に指定されている山形・米沢市の寺で、本尊の運び出しが行われた。作られて約230年が経過した仏像は、今後1年かけて修復される。

仏像の倒壊につながる接着部に不具合

上杉鷹山が江戸の学者、細井平洲(へいしゅう)を出迎えた地とされる米沢市関根の「普門院」。その本尊・大日如来坐像は1794年ごろに、今の西川町にある湯殿山本道寺から伝わったものとされている。

大日如来坐像
大日如来坐像
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しかし近年、経年による劣化に加え、2022年の福島県沖地震の際に、台座に亀裂が入るなど損傷が目立っていた。

2023年4月に行った専門家による調査の結果、仏像の倒壊につながる接着部の不具合などが確認され、今回の修復が計画された。

「歴史性とともに未来につなぐ修復を」

4月3日は、仏像の魂を抜く「閉眼法要」の後、仏像の解体と運び出しが行われた。

慎重に運び出される大日如来坐像
慎重に運び出される大日如来坐像

高橋隆文住職や檀家などが見守る中、高さ2.2メートル、重さ約40kgの大日如来坐像は、仏像・光背・台座の3つに解体された。そして、慎重に梱包・運搬が行われ、約1時間で作業を終えた。

普門院・高橋隆文住職:
ご本尊と再会する楽しみを、これから私の日々の生活の中で糧にしていきたい

修復を担うのは、上山市の東北古典彫刻修復研究所で、2025年3月に完了する予定。

“山形県内の宗教観が表れている仏像”だという渡邉真吾副所長。「歴史性とともに未来につなげていける、そんな修復をしたい」と語る。

費用は約700万円が見込まれ、普門院は今後、クラウドファンディングを用いて広く支援を募る考え。

※高橋隆文住職の「高」はハシゴダカ

(さくらんぼテレビ)

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