静岡県の川勝平太知事は3日、県庁で会見を開き、職業差別と批判を受けた自身の発言について謝罪した。辞意表明で、リニアの工事は進むのか。

静岡県の川勝平太知事は2日、「6月の議会をもって、この職を辞そうと思っております。以上です」と述べると、騒然とする記者をあとに知事室へと消えた。

事の発端となったのは、1日の静岡県庁の入庁式で行われた新人職員への訓示だ。

川勝平太知事(1日):
毎日毎日野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたり、あるいは物を作ったりとかということと違ってですね、基本的に皆さま方は頭脳・知性が高い方たちです。ですからそれを磨く必要がありますね

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職業差別ともとれる発言に批判が集まると、川勝知事は2日夕方に会見を開いた。

川勝平太知事(2日):
(Q.発言の真意は?)職業差別は皆無です、ありません。職業に貴賤はないという基本的な考え方ですね。切り取られたんだと思いますね

メディアの報じ方に問題があると主張しつつ、6月の県議会のあと辞職する意向を明らかにした。

3日朝、愛知県の大村知事は…。

大村秀章知事(3日):
切り取られたと、でも現にそう言われていますので、それは違うのではないかなと

川勝知事は3日午後、改めて会見を開き、発言について謝罪した。

川勝平太知事(3日):
誠に申し訳なく、心からお詫びをいたします。申し訳ありませんでした。どうか自分のお仕事に誇りと使命を持って続けてください

川勝知事は2009年に初当選し、現在4期目だが、たびたびその発言が物議を醸してきた。

川勝平太知事(2019年):
ごろつき、ヤクザというのは誠に不適切な表現でありまして

2019年、対立する自民党県議を念頭に「ごろつき」と発言し、本会議で謝罪した。2020年には「菅義偉という人物の教養のレベルが、図らずも露見したということじゃないかと思います」と、当時の菅総理の教養のレベルが低いと断言した。さらに…。

川勝平太知事(2021年):
あちら(御殿場市)はコシヒカリしかない!ただ飯だけ食って、それで農業だと思っている!

県内の特定の地域を揶揄する「コシヒカリ発言」では、県議会から辞職勧告を受ける事態となった。

しかし、歯に衣着せない発言が静岡県民の一定の支持を得てきたのが、「リニア中央新幹線」を巡る姿勢だ。

川勝平太知事(2019年):
(トンネル本体工事は)今はとてもじゃないけどゴーサインを出せるような状況ではありません。リニアかユネスコエコパークどちらをとりますかと言われれば、言うまでもなくエコパークであります。なぜかというと(リニアには)何のメリットもないからです

環境への影響に懸念があるとして、県内のトンネル工事のスタートに待ったをかけ続け、JR東海は3月29日、当初計画していた2027年の名古屋-東京間の開業の断念に追い込まれた。

川勝知事の辞職でリニアの工事は前進するのか。

岡崎市の40代女性:
リニアを楽しみにしている者にとっては、これで進むのかなという気持ちにはなりました

岐阜市の大学2年生:
(工事に)問題点もあるって聞いたので、その点をちゃんと踏まえて何か対策がしてあるのなら、全然やってもいいと思っています

JR東海は、川勝知事の辞意表明を受けて「報道は承知しているが、コメントする立場にない」としている。

(東海テレビ)

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