第6節を終えて5勝1敗と好調を維持した状態でアウェイ・山形に乗り込んだ清水エスパルスだったが、乾・北川・カルリーニョスと主力3人を欠いた影響は大きく完敗を喫した。第8節は監督解任に揺れる徳島を迎え撃つ。

完敗から4日…立て直せるか

山形戦の前まで3連勝と自信を持ってアウェイの地へと乗り込んだ清水エスパルス。

ところが山形戦には乾・北川・カルリーニョスの名前が先発はおろか、ベンチ入りメンバーにすら入っていなかった。

このため高卒ルーキーの郡司がリーグ戦初出場初先発。さらに松崎・白崎・ブラガという新鮮な顔ぶれの前線となったが、前半30分過ぎまでシュートを放てないどころか、ハイプレスがまったく機能せずズルズルとラインを下げられ、34分には小気味よいパスワークから侵入を許すと先制点を献上。

後半は郡司に代わってユース出身の千葉を投入したことで、プレスも修正され、ようやくエスパルスらしい時間帯もできた。しかし、得点には至らず、逆に終了間際にクロスをクリアした蓮川のヘディングが相手フォワードに渡ってしまい失点。連勝は3でストップした。

それでも秋葉監督は敗戦をポジティブに受け止め、「勝ちながら修正するのがベストだが、痛みから学べている」と話す。

エスパルスらしいハイプレスは乾や北川のスイッチで始まる印象が強いが、代わって出場する選手が同じように追い込みをかけることが出来れば、これまでと同じように主導的なゲームにすることができるだろう。

開幕から先発出場を続けるボランチの中村は、現在こそ下位に沈んでいるもののJ1経験もあり、選手の質も高い徳島に対して、「球際の強さで勝つこと」とこれまでと変わらぬスタイルを意識する。

また、過去に徳島へとレンタルの経験を持つ千葉は、プロ選手としての自覚を学び取った徳島に「自分には得点することしかない」と息を巻く。

徳島は監督が解任され、ヘッドコーチがチームを率いる緊急事態で、これまでのデータ通りの戦術を敷いてくるのかわからない。

さらに言えば、チームの“危機”が反対に選手の意欲をかき立てる可能性もある。そうした状況の相手に対しては、やはりクラブの目指す“攻守においてアグレッシブ”を体現するしかない。

秋葉監督「痛みからの学びは見えた」

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-山形戦を振り返って
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
この負けを今はポジティブにみている。勝ちながら修正するのはベストだが、痛みから学べているか立ち上がれるかが大事。次はそこを見せたい。長崎戦からはそうしたリバウンドメンタリティの学びや修正力を実践してくれた。3連戦のあと2試合、そこを見せたいなと。見せられないと痛い思いをした意味がない。よりたくましくなっているか見せられるかどうか…今日のトレーニングでは選手の野心的なプレーや攻守においての緊張感と活気があった。ゲームをやらないとわからないが痛みからの学びは見えた。

-徳島は監督が代わった
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
本当を言うと代わって欲しくなかった、。読みづらいところがたくさんある。ただ、去年自分もやったが、時間があまりに限られているものの、監督が代わったということは何か自分の色を出すと思うので、そこに気をつけながら…。

でも、大事なのは我々が前節の負けから学んだこと、やるべきだったことが2つ3つあるので、自分たちの修正点、やるべきこと成長と変化を見せられるように、まずは自分たちに注力したい。

-前線の3選手を代えたのは想定の範囲内か
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
常にケガ人がいないということはないし、11人全部1年間同じということもないので、想定内と言っていい。誰が出てもいいようにチーム作りしているので。

だが、その代わりに起用された選手が出し切れなかったのは残念で悔しい。誰が出ても一定以上のフットボールができるようチームとしてやっている。その上に個人の特長・ストロングが乗るのがいい感じ。そこを見せられなかったのは残念で反省している。

選手はシーズン通して出てくれることが大事。1試合のためだけで無理をさせてはダメ。今後も総合的な判断をしつつ起用方法を考えて対応したい。

-このところ千葉が使われている
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
千葉は野心的でザ・ストライカーという感じ。アカデミー出身者で小さい時からすばらしい選手やエスパルスというチームを見ている。エンブレムの重みを知っている。自分たちがどうあるべきか、どういう振る舞いをすべきかという姿も描けている。「エスパルスはこういうクラブだ」と理解している。

育成型クラブだということを掲げており、彼らがチームの中心になって点を獲り、勝利に導くことがクラブの未来につながると思う。サポーター・ファミリーもそれを望んでいるのではないか。

-主導権の取り合いがゲームの鍵になるのでは
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
主導権は攻守において取りたいと思っている。攻撃だけではない。守備をしながらの主導権も握る。そういうクラブを目指している。意図的にボールを獲りに行くことも仕掛けるし、はめ込むし…。我々が仕掛けて行けるようにしたい。山形戦ではまらなかった。ハーフタイムまで修正できなかった。

プレッシングの仕方は1つではない。複数あるやり方を外からの指示でも、中からの気づきでもできるようにすることが大事。負けという痛い思いをしたが、修正力・対応力の引き出しができたとすれば、この戦いは無駄ではなかったと思う。

中村選手「出来ることを意識して」

清水エスパルス・中村亮太朗 選手:
山形戦、能力のある選手多いので、まずは失点しないようにという意識で入った。それで失点してしまい、前半から思うような展開ではなかった。トップ下に入ってから、あまり練習でも試していなかったが点が欲しかったので、そのためにできることだけ考えた。

守備がはまらなかったのは相手のフォーメーションが想定と違ったから。その時に味方の矢印が迷いながらになってしまった。今日のミーティングと練習で修正できた。

徳島もJ1経験があって能力の高い選手もいる。今は下位にいるが、それに合わせてしまうのは良くない。山形の敗戦で落ち込むより、自分たちの出来ることを意識して戦うほうがいい。

監督が代わったことについてスタッフの分析を見るが、球際や戦うところがキーポイント。持って行くしかない。相手の出方はわからないが、まず自分たちがやりたいことの基本的なことをやるだけ。戦う姿勢を見せたい。

得点は獲れればいい。自分に欲はあるが、まずは勝てればいい。

千葉選手「自分にはゴールしかない」

清水エスパルス・千葉寛太 選手:
自分が決めないと勝てない。ケガ人がいる中で自分にチャンスがあるので、結果を出して勝利に貢献したい。

徳島は前に所属していたため個人的に特別な思いがある。(当時)ほとんど活躍できなかった事実がある。その意味で人一倍気合が入っている。エスパルスの選手としてしっかり倒したい。あの頃、監督の求めややりたいことに合わせられなく使ってもらえなかった。監督が代わったので、多少やり方も変わるだろうが1つになる部分もあり、自分たちも連敗できない。

成長の自覚は、徳島でスペイン式のポジションを学んだ。その中での競争に鍛えられた。プロに入ってすぐは点を獲ることしか考えていなかったが、ポストプレーやディフェンスなどレンタル期間に学び、自信を持って帰ってきた。ポジティブに受け取っているが今も焦る感覚はある。

とにかく自分にはゴールしかない。それがないと魅力のない選手になってしまうので結果で証明したい。決め切るところ、回数増やすところを意識したい。エスパルスは自分が育った一番好きなクラブ。早く結果を出さないといけない。

(テレビ静岡 報道部スポーツ班・外岡哲)

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外岡哲
外岡哲

テレビ静岡 報道部スポーツ業務推進役(清水エスパルス担当)。
1984年テレビ静岡入社。
1987年~1994年(主に社会部や掛川支局駐在)
2000年~2002年(主に県政担当やニュースデスク)
2021年~現在(スポーツ担当)
ドキュメンタリー番組「幻の甲子園」「産廃が街にやってくる」「空白域・東海地震に備えて」などを制作。
清水東高校時代はサッカー部に所属し、高校3年時には全国高校サッカー選手権静岡県大会でベスト11。
J2・熊本の大木武 監督は高校時代の同級生。