自民党の政治資金事件に関連し、岸田首相と茂木幹事長らは、2日に議員処分の調整会談を行った。
対象は安倍派と二階派の39人で、塩谷元文科相と世耕前参院幹事長には「離党勧告」が検討されている。
しかし、不出馬を表明した二階元幹事長の処分は見送られた。

二階元幹事長の処分はなし

自民党派閥の政治資金事件を受けた議員への処分をめぐり、岸田首相は2日午後、茂木幹事長らと会談し、詰めの調整を行った。

この記事の画像(11枚)

岸田首相は午後3時半ごろから国会内で、茂木幹事長、麻生副総裁と協議を行ったほか、相次いで党幹部との会合を続けている。

処分の検討対象は、収支報告書の不記載などが5年間で500万円を超えた、安倍派と二階派の議員39人で、安倍派でキックバックをめぐり、幹部として協議した塩谷元文科相と世耕前参院幹事長には「離党勧告」が検討されている。

また、同じく協議の場にいた西村氏と下村氏に加え、ほかの安倍派幹部らの処分も焦点で、4日の党紀委員会で審査が行われる。

こうした中、39人の議員に対し、党紀委員会が2日、通知書を送り、弁明を希望する場合は当日の4日午前10時までに、A4用紙1枚に内容をまとめ提出するよう求めた。

一方、不記載額が500万円未満の中堅・若手の議員への処分は行わず、「注意」にとどめる予定で、次の選挙に出馬しないことを表明した二階元幹事長の処分も見送る方針。

党紀委員会による処分対象を39人とすると発表したが、次期衆院選に不出馬を表明した二階元幹事長は処分の対象にならなかった。

次期衆院選に不出馬を表明したことが大きいが、この問題に対する政治的責任を果たしたかは疑問が残る。
二階元幹事長は派閥のトップで、不記載額が一番大きいのに処分なし。
国民の理解が得られるかどうかという声も聞こえてくる。

ここからは、フジテレビ政治部・西垣壮一郎デスクがお伝えする。

── 派閥の会長でもあった二階元幹事長はなぜ、処分なしとなったのだろうか?

二階元幹事長は、衆議院当選13回、自民党幹事長在任期間は5年2カ月で歴代最長、政権復帰後の自民党の基盤固めに貢献したなど党への貢献度が大きい。

そして二階元幹事長は、安倍派幹部は「知らない」と自ら責任を取らなかった中、「政治責任はすべて私の監督責任にある」ことを理由に、自ら出馬しないことを表明したため、処分は見送られたと思われる。

3月25日、二階元幹事長は会見で「みなさんご苦労様でございます。すでに派閥の元会計責任者と私の秘書が刑事処分を受けておりますが、その政治責任はすべて監督責任者である私自身の責任にあることは当然のことであります。岸田文雄自由民主党総裁に対し、次期衆院選挙に出馬しないことを伝えました」と話した。

また、記者の「不出馬は年齢の問題?」との質問に「年齢の制限があるか。お前もその年来るんだよ。ばか野郎」と言うシーンもあった。

岸田首相は自ら処分も検討

── しかし、3500万円を超える不記載額は、起訴されなかった議員の中で最多。処分なしは甘いのではないだろうか?

同じく派閥会長として、岸田首相自らの処分の見送りに合わせたともみられる。
二階派の不記載額は2億6460万円で、岸田派の不記載額は3059万円、岸田首相は次元が違うと言っているが、会計責任者は岸田派でも起訴されている。

そのため、二階派の議員などからは「二階元幹事長を処分するならば、岸田首相も処分すべきだ」といった声も出ていた。

そういったこともあり、実は岸田首相は、自ら処分も検討した。
しかし、自民党内の処分の8段階だが、下から2番目だと実質的な注意レベルなので甘い。
ただし、下から3番目の党の役職停止以上でも、総裁でいられないということになる。

ひいては、総理大臣の身分にも関わるので、元派閥会長として、処分を自らしない形にした。

連動して、問題の期間の派閥会長として責任が連動しないように、派閥会長の二階元幹事長には処分なしという判断とした面もあるかと思われる。

岸田首相は、9月までに総裁選挙を控えている。
最大派閥だった安倍派の幹部は処分に反発もある中、二階派は、不出馬という判断をもって処分はしないことで、二階派所属議員との関係を断絶させないという狙いと、二階派への影響を最小限にしたいという二階元幹事長と考えが一致したとみることもできる。

二階元幹事長は、実は国土強靱(きょうじん)化の担当。
二階元幹事長にとっても、担当の部屋も残り、影響力がそがれるわけではない。

しかし、二階元幹事長は3526万円の不記載があり、国民にとっては処分なしというのは納得できないという声もある。
(「イット!」 4月2日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(11枚)