止まらない「紅麹」問題。病院には不安を訴える患者が続々と訪れていた。ここまで影響が広がった背景には、小林製薬の後手に回った対応があった。
病院に相談者続々 イオンは7品目を自主回収
3月27日、東京都内の内科クリニックを訪れると、診察の際にこんなやり取りが交わされていた。

医師:
紅麹が入った機能性表示食品を飲んでいたことはありますか?
患者:
ないです。でも、何に入っているかが分からない。

小林製薬の紅麹を使ったサプリメントを摂取した人が、腎臓の病気などを発症した問題。2人目の死亡事例が明らかになるなど、日増しに被害規模が拡大している。小林製薬の相談窓口には3600通を超えるメールが寄せられているという。
病院には紅麹の関連商品に関する注意喚起の紙が張られるなど、患者にも健康被害への不安が広がっていた。

患者(70代):
私もクレストロールが高いので、ちょっと気になります。
患者(80代):
麹っていうのは悪いもんじゃないって思っちゃう。
この病院には、健康不安について相談に訪れる人が26日だけで5人訪れたという。

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
(初期症状は)尿量が減ったり、体がむくんだり。こういう症状が出てくる。(サプリを摂取していたら)いったん飲むのをやめて、かかりつけの医療機関に相談をしていただきたい。
27日も各地で自主回収の動きが拡大。

新たに大手スーパーのイオンが、プライベートブランド商品の自主回収を発表した。対象は小林製薬の紅麹を使った、トップバリュの「高菜ピラフ」「麦麹使用でふんわり肉まん」など7品目。

イオンによると、紅麹は発酵調味料に含まれているため原材料には表示されていない。今回は当該の紅麹は使用しておらず、現時点で健康被害は出ていないとしている。
情報公開が遅れた小林製薬 大阪市が行政処分
影響が広がり続ける背景には、小林製薬の対応が後手に回った経緯が指摘されている。
問題発覚を受け、小林製薬は22日に会見を開き、最初の被害報告についてこう説明した。

小林製薬 執行役員 渡邊淳さん:
1月15日に医師から連絡がありました。腎疾患という形での報告になっております。
1月15日以降も同様の相談が相次ぎ、2月6日には小林社長が事態を把握した。
小林製薬 小林章浩社長:
私は恐らく2月6日に聞いてるんですけども、その時点でこの案件については、何らかの形で回収になるだろうという覚悟を持ちました。

小林製薬が最初の相談を受けてから、会見が開かれるまで2カ月以上。社長が事態を把握してからも1カ月半の間、情報公開が遅れたことになる。

小林製薬 小林章浩社長:
判断が遅かったと言われれば、その通りだと感じております。
商品の自主回収を決めた愛知県の製薬会社からは、こんな声も上がっている。

山本漢方製薬 顧問 吉田正敏さん:
(小林製薬からは)なんの連絡もなかったんで。報道を見ている間では、かなり前から分かっていた話ですので、もう少し早く連絡がほしかった部分ですね。

27日午後5時過ぎに会見した大阪市の横山市長は、「服用されているという方は、直ちに服用をやめていただいて回収に応じていただきたい」と述べた。
大阪市は食品衛生法に基づく行政処分を出し、「紅麹コレステヘルプ」を含む3つの商品約100万個を回収するよう命じた。
(「イット!」3月27日放送より)