文化庁が、地域に根付く食文化を広くPRしようと2021年から始めた「100年フード」 2023年度は、3月5日に発表され「伝統」「近代」「未来」3つのカテゴリーに26都道県の50件が新たに認定された。福島県から新たに認定されたのが、会津美里町の「高田梅漬け」、喜多方市の「塩川鳥モツ」そして郡山市のご当地しょうゆラーメン「郡山ブラック」だ。
三大ご当地ラーメン・郡山ブラック
「近代」部門で認定されたのが、漆黒のスープが特徴的な「郡山ブラック」ラーメン。その歴史は古く、福島県内では喜多方・白河と並んで三大ご当地ラーメンにも挙げられる。
155年守る味 ますや本店
ますや本店の4代目・柴原久男さんは「コツコツ開業して155年経ちますが、長くやっていれば、こうやって認めて貰えるんだなって感じですね」と話す。
変わらぬ味を提供している「ますや本店」は、一日・約200杯の「郡山ブラック」を提供している。
漆黒はおいしさの証
この店では、チャーシューを煮込んだ「しょう油だれ」と「豚がらスープ」を一つの寸胴で合わせる代々受け継いだ製法にこだわっている。
柴原さんは「どんぶりで合わせるよりも、寸胴で合わせた方がコクが出る。時間が経てば経つほど、どんどん味が詰まっていって味が濃くなるし、醤油の色も水が蒸発するので濃くなっていく訳です。それで黒いスープになる」と話す。
しょっぱくない 飽きない味
多い時で週3回ぐらい訪れるという常連客に話を聞くと「飽きたりは全然しない。スッキリしていますので」と話す。また郡山ブラックを食べて30～40年になるという、郡山市に住む80代男性は「辛いように見えて、しょっぱくない。ダシも出ているし」と話した。
200年後まで続く味に
現在、郡山市内で「郡山ブラック」を提供しているのは約25店舗。柴原さんは「100年フード」に認定されたことで、さらに多くの人に知ってもらいたいと話す。
そして「私も含めて、ブラックに携わっている方が、5年後10年後200年後まで続ける決意で、切磋琢磨してやっていきたい」と話した。
ゴルフボールほど大きな高田梅
「伝統」分野で認定されたのが、会津美里町の「高田梅漬け」
ゴルフボール大にもなるという大きな高田梅は、室町時代中期に九州地方から現在の会津美里町に持ち込まれて栽培が始まったとされている。
皮が薄く、果肉が厚いという特徴を生かした「高田梅漬け」は、常備食・保存食としてそれぞれの家庭で守り継がれてきた。
モツと言っても内臓肉にあらず
そして「未来」の分野では、喜多方市の「塩川鳥モツ」が認定された。
通常、モツといえば内臓肉「ホルモン」を意味することが多いのだが「塩川鳥モツ」は「鳥皮」。
喜多方市塩川町で長年愛されてきた「塩川鳥モツ」だが、どうして「鳥モツ」と呼ぶようになったのか定かではない。独自の進化を遂げてきた「塩川鳥モツ」知る人ぞ知るローカルグルメに注目だ。
福島県が全国最多16品
「100年フード」は、これまでに全国で250件が認定されている。
都道府県別の認定件数上位は、1位が福島県で16件、2位が高知県の11件、3位は愛知県の10件、４位には北海道、福井県、福岡県が9件で並ぶ。
福島県からはこれまでに、江戸時代から続く郷土の料理を選ぶ「伝統」部門に「いもずいも」「こづゆ」「ベンケイ」「いかにんじん」「山都そば」「うにの貝焼」が選ばれた。
明治・大正に生み出された食文化から選ばれる「近代」部門には「喜多方ラーメン」「ラジウム玉子」、100年を目指す「未来」部門には「円盤餃子」「クリームボックス」「あんこうのどぶ汁」「さんまのポーポー焼き・サンマのみりん干し」「メヒカリの唐揚げ」が認定されている。
100年フードを目当てに、その場所を訪れてみるのも良いのでは？
（福島テレビ）
