22日、東京大学の卒業式が行われ、コロナ禍で学生生活を送った約3000人が新たな門出を迎えた。学生たちは国際紛争、教育格差、スポーツなど多岐にわたる興味を持ち、将来は人の役に立つ仕事を目指している。

子どもの貧困、奨学金問題、大谷翔平…

東京大学で22日、卒業式が行われ、学生生活のほとんどをコロナ禍で過ごした約3000人が新たな1歩を踏み出した。

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東京大学の卒業式は22日午前、安田講堂で行われ、新型コロナの影響でオンライン授業などの制限がある中で学生生活を送った、文学部や理学部など10の学部の2965人が卒業した。

東京大学・藤井輝夫総長は「グローバルな視点で見たときの自分の個性や強みを生かして、世界の公共性に創造的に貢献していただきたい」と伝えた。

卒業生は答辞で、「新たな責任と可能性を胸に、これからの日々を精進していきたいと思います」と決意を述べた。

毎年、話題となる東大の卒業式で、東大生は今、何に関心があるのか取材した。

法学部の卒業生は「ガザ地区の紛争だったり、国際紛争に興味がある。大学で国際法の単位を取っていたので、実際の事実が国際法の観点から、どういうふうに紛争の解決に国際法が視する事が出来るか考えていたので」と話した。

教育学部の卒業生は「大谷選手のニュースには最近注目している。試合とかは、全部録画したのを見ている」とコメント。

法学部の卒業生は「裁判官を目指しているので、裁判所の一つ、違憲審査権というのはすごく大切な機能」、法学部の卒業生は「私は教育学部なので、最近は奨学金の返済のニュースとか、あと所得格差によって、自己肯定感とかの差があるというニュースが出ていて」と話した。

東大生たちの気になるニュースをまとめると、「大谷選手」はもちろん、「ガザなど国際情勢」が入っていた。

このような東大卒業生の抱く「将来の夢」がどんなものなのかも、聞いてみた。

教育学部の卒業生は「お客さまに対して、最初から最後までずっとそばで支援するような、コンサルタントになりたい」、教養学部の卒業生は「有益で重要な論文を書いてみたいという気持ちがあって、その先に研究っていうのを続けられたら」と語った。

また、別の卒業生からは「製薬企業に行って、薬の開発に携われたら良いなと思っています」「法律で人の紛争だったり、それの力になりたい」という声が聞かれた。

実際に書いてもらった「将来の夢」の一部を見ると、「弁護士」や「研究者」「コンサルタント」など人の役に立つ仕事をしたいという人が、とても多かったのが印象的だ。

「諦めずに対話の場を作り続ける意志と態度を」

東大というのは、法学部は特にだが、国の税金で社会に役立つ官僚を育てるところから始まっており、社会貢献が開校の条件のようになっている。

公の利益のために頑張るという意識を、エリートの方が持っていただくのが大事である。

22日の卒業式で藤井輝夫総長は、「相手と自分の主張が対立しても、諦めずに対話の場を作り続ける意志と態度を捨てないでください」と、はなむけの言葉を贈った。

その他にも、ガザの紛争やウクライナ侵攻、能登半島地震にも触れたうえで、「大事なのは、自分の生活圏を離れた場で起こる災いをただ傍観するのではなく、弱い立場にある人びとへの想像力と共感を働かせ、社会正義と平和のために行動することだ」という言葉があった。

つらいニュースから目を背けたくなるが、きちんと現実を見て、何が出来るか行動を起こすというのは、考えていかなければならない。
自身も東京大学卒の教育学者・齋藤孝(65)は、「力のある人が傍観者になってしまうことが危険。学長の言葉は当事者意識を持って社会的責任を果たしていくということが表現されている素晴らしい言葉だった」と評価した。
(「イット!」 3月22日放送より)

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