大阪・道頓堀のにぎわいと、その奥に雄大な富士山を描いた面白い作品。描いたのは、発達障害のアスペルガー症候群と診断された男性。「デジタルアート」の世界で抜群の才能を発揮し、今、地元の山形・米沢市で初の個展を開いている。
発達障害の“デジタルアーティスト”
朝日が差し込む竹林で、つがいなのか2羽のツルが楽しそうにじゃれ合っている。
この記事の画像(10枚)タイトルは「竹林の中の縁起モノ」だ。「見た人に希望や安心感を持ってほしいと思いを込めた」と紹介されている。
描いたのは、米沢市在住のデジタルアーティスト・今脇健太さん(43)。今脇さんが芸術の世界にデビューしたのは3年前、40歳を過ぎてからだった。
デジタルアーティスト・今脇健太さん:
(Q:絵は得意だった?)得意じゃないです。ふふふ
今脇さんは、市内の高校を卒業後、東京の大学に進学。しかし対人関係が苦手で就職活動につまずき、一時、職を転々とした。そんな中、25歳の時に受けたのが、発達障害の「アスペルガー症候群」という診断だった。
デジタルアーティスト・今脇さん:
それまで自分が何者かがわからなかったので、診断受けてスッキリした気分。当時は“発達障害”という言葉がまだ聞き慣れなかったので、「自分は特別な存在・何か特別なものを持っているかもしれない」という思いが強くあった
デジタルアートで才能開花
そして約5年前に出会ったのが、パソコン上で複数の画像を組み合わせ、独自の世界観を表現する「デジタルアート」。
デジタルアーティスト・今脇さん:
こちらは道頓堀です。奥に富士山があります。現実的にはありえません。ただなぜ道頓堀を選んだかというと、“昭和”ってすごくいい時代だったと思っている。人間関係が温かくて。今の“令和”は人間関係がギクシャクしたり…。この作品を見ることで、改めて日本の素晴らしさを感じてもらえれば
デビュー後のわずか3年間で、4つのコンテストでグランプリに輝くなど、注目を集める存在となった今脇さん。現在は東京の会社のアート部門に所属して、在宅勤務のかたわら、創作を続けている。
デジタルアーティスト・今脇さん:
それまで職を転々として、社会に貢献することができなかったが、ようやく作品を通して、人に喜んでもらえて、社会に貢献できたかな
初の個展で「まずは知ってほしい」
自身初となる個展は、米沢市内のギャラリーで開催中。今脇さんは、「デジタルアートという表現があることをまずは知ってほしい」と話す。
デジタルアーティスト・今脇さん:
厳しい現実の中にこそ、夢や希望・ロマンが必要だと思っている。作品を見てくれた人にも前向きになってほしいという気持ちが強い
今脇さんの個展は、3月24日まで開かれている。
(さくらんぼテレビ)