まもなくサクラのシーズンが始まるが、海外メディアでも取り上げられる、あるサクラの名所に危機が訪れている。サクラの幹や枝が切られて痛々しい姿となり、地面には切り株が目立っているのだ。名所を守るための取り組みを取材した。

NYタイムズ紙に紹介された名所の今

香川・三豊市詫間町の荘内半島には、標高352メートルの紫雲出山がある。

地元の小学生が若いサクラを植樹
地元の小学生が若いサクラを植樹
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2月23日、高さ約2メートルの5本の若いサクラが、地元の小学生などの手によって植えられた。

植樹した小学生たちは「たくさんのきれいなサクラができて、たくさんの観光客が見てくれたらいいと思う」、「笑顔になれるようなサクラがいっぱい咲いているところにしたい」と期待を込める。

頂上付近では瀬戸内海とサクラが競演する紫雲出山だが、2019年にはアメリカのニューヨークタイムズ紙に紹介され、シーズン中には約4万人が訪れた。

しかし、多くのサクラが樹齢70年ほどと老木化が進んでいるうえ、伝染病も影響して、花が付かなかったり倒れたりしている。何らかの対策が必要となっている木は、約1000本のうち700本ほどにのぼる。

カルテ作成・強い品種で次世代につなぐ

市は2021年に保全計画を策定し、1本1本カルテを作って管理を始めた。

そして2024年には、初めて一般からの募金を使って、病気に強いヨウシュンという品種の植樹が行われた。

三豊市・山下昭史市長:
皆さんに知ってもらうサクラが徐々に失われていく状況が続いていたので、木を植えると次の世代につながるのでうれしい

今後10年間かけて植樹を続ける計画だが、保全にはさらなる費用がかかる。

山下市長は「守っていきたいので、賛同してもらい募金をもらえるのはありがたい。皆さんの力が必要なので協力してほしい」と話す。

2024年は3月23日から4月10日までが見頃だという紫雲出山のサクラ。マイカーで入山する場合は完全予約制となっていて、保全のための募金も呼びかけている。

(岡山放送)

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