性加害など子どもたちの安全を巡る問題が相次ぎ、「性教育」に対する関心が高まっているが、親としては「どう教えてよいか分からない」という人も少なくない。性教育に取り組む保育園を取材した。

パズルなどを使い“性教育”の特別授業

福岡市博多区にある「三筑どろんこ保育園」の庭では、子どもたちが元気いっぱいに駆け回り、笑顔にあふれた楽しそうな声が響いている。そんな中、この保育園で卒園を前にした年長のクラスでは、ある“授業”が行われていた。

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三筑どろんこ保育園・北原由美園長:
真面目なお話だからね。みんなにちゃんと自分の体を守ってほしいから、今からお話をします。しっかり聞いてくださいね。

園児たち:
はーい!

始まったのは性教育の授業だ。この保育園では、登下校など1人で行動することも増える小学校入学前のこの時期に、卒園を控えた年長組の子どもたちを対象にした特別授業を行っている。

三筑どろんこ保育園・北原由美園長:
人に見せてはいけない場所、自分で守らないといけない場所、どこだった?

園児たち:
プライベートゾーン!

「プライベートゾーン」とは、むやみに他人に見せたり触らせたりしてはいけない自分の体の大切な場所である。園では胸やお尻、性器など水着で隠れる場所をプライベートゾーンとして日々の保育の中でも子どもたちに伝えてきた。
さらに、パズルを使って男女の体の違いについても学ぶ。

三筑どろんこ保育園・北原由美園長:
ここで男の子と女の子の違いはありますか?

園児:
ある!ちんちん!

三筑どろんこ保育園・北原由美園長:
そう、男の子にはおちんちんがついていて、女の子はここだけ違うね。

女性のおなかの中や胎児が育つ過程も

さらにパズルを外し、「赤ちゃんが育つ場所」を説明する。

三筑どろんこ保育園・北原由美園長:
(女性は)卵巣というところがあって、「赤ちゃんが育つ場所があるよ」って言ったでしょ。だからおなかは大事なところなの。赤ちゃんが育つベッド、子宮があるのと、男の子は赤ちゃんのもとが作られるんだよね。

男女の体の違いを学んだ上で、次は一人一人針で穴を開けて赤ちゃんの卵、卵子のサイズを確認する。

三筑どろんこ保育園・北原由美園長:
園長先生は針を持っています。この針で黒い画用紙をぷすって刺した。この大きさが卵です。

園児たち:
えー!?

三筑どろんこ保育園・北原由美園長:
ちっちゃい穴、見えるでしょう。これが最初の卵だよ。どれくらい小さいか分かった?

園児たち:
はーい!

さらに、助産師の勉強にも使用するというサイズ別の人形を使って、お母さんのおなかの中の赤ちゃんがどのように育っていくのかを学ぶ。園児たちも人形の大きさを確認したり、大切そうに抱っこしたりしていた。

胎児の人形を抱っこする園児たち
胎児の人形を抱っこする園児たち

三筑どろんこ保育園・北原由美園長:
おなかに入って産まれてくる前の赤ちゃんも重たいでしょ。あれをお母さんはずっとおなかの中に入れてるんだよ。

園児:
重たそう。

三筑どろんこ保育園・北原由美園長:
重たそうだよね。お母さんはそうやって大事に大事にみんなのこと守って、大きくして産んでくれたんだよ。

園での学びを中高の“性教育”へ

体の仕組みを知り、そして自分自身も友達も大切に育てられたことを知ることが、体を守り大切にすることにもつながると園長は話す。

ーーどんなことを勉強しましたか?

女の子:
赤ちゃんの重さが違って、かわいかった。

ーープライベートゾーンって、どういうお話だった?

女の子:
見せたらいけないお話。

三筑どろんこ保育園・北原由美園長:
私たちは、性教育って「性」ではなくて「生きる」という方の、生命の命っていうところと併せて伝えていっているので、そこからゆくゆくは中学、高校の性教育につなげていけばいいのかなと思います。

普段から命の大切さや体について、保育の中で折に触れ話をしている三筑どろんこ保育園では、保護者からも性教育については「家庭ではなかなか話しづらいのでありがたい」という声が上がっているという。

家庭で性教育を行う際に気を付けるポイントを園長に聞くと、幼児期は男女の体の違いにも気付き、興味が出てくる時期で「なぜ?どうなっているの?」などと聞いたり、自分や友達の体を触ったりしたくなる時期でもあるという。まずこのことについて、保護者が理解していくことが大切だと話していた。

(テレビ西日本)

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