飲食代などを支払わせるため、客の女性に性風俗店の仕事を紹介したとして逮捕された、仙台市の国分町にあるホストクラブの元店長が、塾と称して従業員に営業方法を共有していたことが分かった。塾の名前は自身の源氏名から「剣(つるぎ)塾」。女性の恋愛感情を利用した悪質な営業実態とは。

客の女性をデリヘルに紹介した疑い 元店長再逮捕

職業安定法違反の疑いで逮捕・送検されたのは、国分町のホストクラブ「NOBLE」の元店長、草苅亮二容疑者(36)と、元従業員の神尾優光容疑者(23)の2人だ。

左・送検される草苅容疑者、右・送検される神尾容疑者
左・送検される草苅容疑者、右・送検される神尾容疑者
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2人は共謀し、2023年8月、客の40代女性に対し、飲食代などを支払わせるため、性風俗店の仕事を紹介した疑いが持たれている。

職業安定法では、「公衆道徳上有害な業務」とされる仕事を紹介することが禁じられている。草苅容疑者は、別の女性2人に対しても、他の元従業員2人と共謀して性風俗店を紹介したとして、同じ容疑で2月に逮捕され、今回で2回目の逮捕となった。1回目の逮捕容疑では、既に仙台地検に起訴された。

2人が働いていたホストクラブ「NOBLE」
2人が働いていたホストクラブ「NOBLE」

女性はクレジットカードのキャッシングや消費者金融などから、1000万円を超える借金があったことが分かっている。

自身の源氏名から「剣塾」 犯行の手口指南

自身が店長を務めていたホストクラブでは、源氏名「神代剣(かみしろ・つるぎ)」を名乗っていた草苅容疑者。

草苅容疑者(店のHPより)
草苅容疑者(店のHPより)

店がオープンした2022年5月から、2月に逮捕されるまでの約1年9カ月の間、「剣塾」と称して、自身で作成した営業マニュアルを従業員に共有し、女性に性風俗店の仕事を紹介するまでの犯行の手口を指南していたことが新たにわかった。

思うように売り上げが上がらないホストに対し、自らの経験をもとに”金を落とさせる“方法を伝授していたとみられている。

「剣塾」に参加した従業員のメモ
「剣塾」に参加した従業員のメモ

宮城県警は、3月7日、店舗への家宅捜索などで押収されたマニュアルや、従業員のノートなどを報道陣に公開した。「剣塾」などで草苅容疑者から教えられた内容などがノートやメモ帳に書き連ねられている。

マッチングアプリなどを通じて出会った女性にいわゆる“疑似恋愛”の感覚を持たせるために、「いつ、どこで、何をすべきか」驚くほど細かく記されていた。

6回目のデートは想い出作り そこから別れへ

初めて会う際の心構えは「堂々と!!自分を作る。声のトーンを2種類。まじめが2割。初めは大きな声で」。

2回、3回、4回と会う回数を重ねるごとに相手の気持ちをあげ、6回目は水族館や遊園地などで「想い出作りのデート」。 

その後、女性に対し次のようなメッセージを送るよう伝えていた。

「すごく楽しかったし、もっと一緒に居たいと思ったけど、自分のことを嫌いになってほしい」

いったん別れを切り出し、その半日後、相手の女性が寝ている時間に「会ってほしい」とメッセージを送信。こうして、相手の心を揺さぶり、「売り上げが悪いと別店舗に移される」などと訴えて、飲食代などを支払うため性風俗で働く必要があるかのように誘導していったという。

また、塾に参加していたホストたちが残していたノートには、「借金 将来 デリの話をする」、「風俗やらせる武器 カード 月の支払い以上は返させない」など、女性たちの心をもてあそぶような文言が記録されていた。

「俺は令和の水商売を知っている」 

「毎月1000万円売れない人は努力不足なだけ。俺は令和の水商売の売り方と在り方を知っている」と、自身のSNSにつづっていた草苅容疑者。

草苅容疑者のSNSより
草苅容疑者のSNSより

警察は、2人の認否を明らかにしていないが、草苅容疑者が主導して店ぐるみで犯行に及んでいた可能性があるとみて、調べを進めている。

(仙台放送)

仙台放送
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